神のダンジョン
もうデタラメな数字を答えた。
オシオキ確定だろうな…。私は半ばあきらめていた。だってわかる? 屋根の色なんて。気にしたことあまりないんだけど。
もう私たちはあきらめムードだった。
が。
『正解だ』
と、ゴーレムの無機質な声が聞こえてくる。
私たちは、思わず口を開けて茫然としていた。
「うそ…」
『407の家が赤い屋根だ』
「デタラメだったんだけど…」
信じられない。いや、うーん。奇跡というのか?
わりとマジで浮かんできたというわけでもなく適当に好きな数字の並びを言ったまでなんだけどそんなんありっすか?
「アテナなんで正解するの!?」
「ちょ、それ現実の名前…」
「さすがに引いたぞ。なぜ正解するんだ」
「知るかよ私が知りたいっての!」
私も私で驚きが隠せない。
『全問正解ダ。通レ。コノ先ハ、ダンジョンノコアガアル部屋ダ。宝モアル。合格ダ』
と、ゴーレムが退くとそこに奥に通じる通路があった。私たちは何とも言えない気持ちのまま進んでいく。
いや、うーん。うーん…。ほんとにあれでいいのか。運も実力のうちか?
「意外とボスは簡単だったな」
と、笑いながらナエギさんはそういった。
「簡単って…。最後のアレ誰も答えられませんよ…」
「超まぐれだからねあれ」
「ミーミル。馬券買うつもりはないか」
競馬やらせんな。
通路を進んでいくと、デカい部屋についた。真ん中にある台座にはクリスタルのようなものが浮かんでおり、辺りには宝箱が並んでいる。
「うわ、すっげー美しい…」
「あれを壊さなきゃいけないんだもんね…。でも、ダンジョンってこんなコアしてたかな。私もいちおうダンジョンは攻略したことあるけど白い丸い石みたいなものだったよ」
「私たちもありますけどたしかに白い丸い石でしたね…」
え、じゃあなんでクリスタルなのか。
『ここはダンジョンであってダンジョンじゃないからです』
と、どこかから声が聞こえてくる。
私たちはその声の方向を見ようと辺りを見渡すが喋るようなものはない。いや、喋ってるのはもしかして…。
『ここは世界が創り出したダンジョンではなく、神が創りしダンジョンなのです。問いの試練、よくぞ乗り越えました。正直あの屋根の問題は女神である私も適当に作ったんですが当てられるとは思ってませんでした』
適当に作ったって聞こえたぞおい。
「え、じゃあクリスタルが神様なの?」
『違います。クリスタルはいわば通信機器のようなもの…。私はちゃんと存在しますよ。嘘じゃありません。信じてください。信じる者は救われます。信じないと罰があたります』
「言い方が悪徳宗教のそれなんだよな」
『こほん。私、こういうまじめなの嫌いなんですよね。もー、普通の口調に戻るよ? ぶっちゃけこういう語り方だるくてさー』
おい。めんどくさがるなよ。
「試練を克服しました。私たちはダンジョンを破壊せよと言われてるのですが」
『それは困るよ! モンスターは出さないようにするから! クソ、王子と公爵令嬢がいちゃついてるのがムカついて王城に作ったのがダメだったか』
「単なる嫉妬じゃねえか」
『スキルを上げるから許してー! 王子にも説明しておいてね!』
「そこは投げ出さないでくださいよ! 自分の責任でしょう!?」
『えー、人間界に干渉するのも楽じゃないんだよ? 神様って意外と辛いの』
とぼやく。
クシナダと私はあまり神様だと信じていない。
「あなたが神だというのなら証拠を見せてくれないか? 神様を騙る悪魔かもしれないからな」
「ま、私もそう思うね。いきなり神様です、はいそうですかってはならないでしょ」
私たちがそう言うと、しょうがないわねえという声が聞こえた。
その瞬間、天から光が降り注ぎ、人がゆっくりと降りてくる。見た目はすげえ可愛い。純白のドレスを着ているが片手に煎餅を持っている。
「はい、女神ヴァルハラでーす」
「可愛い!」
「でしょでしょ? 女神様だからね、可愛くて当たり前」
「性格はブスそう…」
私がそう言うと、女神さまは私に詰め寄ってきた。
「なんか言いました?」
「いえ、なんでもないっす」
私は黙ることにした。
「これで信じたでしょ? これでも女神様だよ。まだ疑うならミーミルの審美眼で鑑定してみな」
というので鑑定してみると、女神と表示されていた。女神ヴァルハラ。ステータスは全部?がついており、性格も書いてある。自堕落でめんどくさがりや…。一応最高神らしいが、この性格だと部下の人大変だろうなぁ。
「ちゃんとした女神だよ。種族は」
「性格も女神ですぅ-。ま、いいや。問いの試練を突破したご褒美をあげないとな。じゃ、君たちの職業にぴったりなスキルをあげるよ」
というと、アナウンスが聞こえてくる。
《スキル:ロックオンを手に入れました》
ロックオンは投擲攻撃が急所に必ず当たるようになるというスキルらしい。ただし投擲攻撃のみだということ。
投げナイフでもしろってことか。
「そいじゃ、仕事終わり。宝は自由にもってっていいよ。売るもよし自分で使うのもよし。ばいならー」
と女神さまはいってしまった。
私たちはとりあえず宝を漁って帰ることにした。




