ダンジョン、突入
私は王城前に着く。
「中に入らせてくれませんか?」
そういって紋章を見せた。
警備兵の人はなんの紋章かわかってないようで追い出そうとしてきたが。
だがしかし、わかる人が見ればわかるんだな。偶然エリザベート様が通ろうとしていた。
「中に入れさせてあげてくださいませ…」
「ですが…」
「王子が通すようにと言っておりました。きっと伝え忘れたのでしょう」
「はっ。かしこまりました」
と、私たち四人はエリザベート様のおかげで入れたのだった。
「ねえ、ミーミルさんって偉い人とも付き合いあるの…?」
「私たちも全部把握してるわけではないですけど偉い人とか多いですよ。こっちでも現実でも…」
「て、敵に回したくないね」
と、後ろで話している。
私はその会話を無視しながらも王子の部屋に通された。王子は本を読んでいた。
「やぁ、アレク様」
「ミーミルさん。ようこそ」
本を閉じ、私の方を見た。
「アレクさん。ひとつ聞きたいんですが」
「はい?」
「この王城に、ダンジョン出来てますよね?」
そういうと、アレクさんとエリザベートさんは驚き固まっていた。
「な、なぜそれを?」
「やっぱあるんだー」
なるほどね。
推測は正しかったということが証明された。
「私たちはダンジョンに挑みたい。許可してほしい」
「…強い、のですか。あなた方は」
「ジキルタイガーをテイムしたんだぞ。弱いわけがないでしょう?」
私がそういうと王子たちは諦めたのか。
「わかりました。ついてきてください」
といって、案内をしてくれるようだった。
案内されたのは王城の地下だった。
私たちは地下へ続く階段を降りる。灯りはあるが少し薄暗くジメジメしている。
「ダンジョンが出来たのはわずか数日前です」
王子はいつダンジョンが出来たのか話し始めた。
「地下に用事があったとある貴族の息子が発見し、中に入り込んだところモンスターに襲われて血塗れになり私たちのところに来たんです。王城の地下にダンジョンが出来ていると告げ、彼は息を引き取りました」
私たちは無言で聞いている。
地下室に着くと鉄製のドアがあり、その周りには食材などが置いてあった。
もともとはここは食材保存のための部屋だったんだろう。入るところは厨房に近かったしな…。それに、ひんやりしてるし保管にはピッタリだろう。
「ダンジョンを完全に潰してください。最深部にあるコアを破壊すればダンジョンとしての機能はなくなりモンスターが消えます。よろしくお願いします」
そう言って、王子たちは立ち止まる。
私は扉を開けた。洞窟のようなダンジョンみたいで灯りがなくとも明るい。
日の光が入らない地下でこんな明るいとは…。
「ひとつ聞くが、ここは本当にダンジョンだろうな? 強いやつを閉じ込めて置くためだけの部屋じゃないだろうな」
「ダンジョンです。私たちが閉じ込めたりしません」
「ならいいが」
私たちはダンジョンへ足を踏み入れる。
私が最後に入り扉を閉めた。
「さて、私はダンジョン攻略は初めてなんだけど…やり方とかあるの?」
「従来のゲームと同じでマッピングしながら階段を探すんだよー」
「ここの最深部は何階だろうな。コアの破壊も頼まれてるからその分を残しておきたいが…」
「とりあえずモンスターに気をつけながら進もう」
そういう方針で行くが少し不安がある。
このダガーはSランクの武器だ。Sランク。魔物が弱いダンジョンでこういう武器は出るだろうか…?
気を引き締めていかねーとな。
「止まれ、敵の気配がある」
私は三人を止める。
この先の道から敵がやってくる。気配察知があってよかったよ。
「敵の実力がわかんないからね。気を引き締めていこう」
「そうだな…。だがしかし、嫌な予感がするぞ。一応ダンジョン用の装備はしてきたが」
「来るよ…」
私たちの目の前にどでかいコウモリが現れた。
審美眼で鑑定してみると、Aランクの魔物の吸血オオコウモリというものだ。
急所はそのデカイ目玉!
「Aランク! 結構強い魔物が生息している!」
私はナイフを構え、かけていく。
吸血オオコウモリに飛びかかりナイフを目ん玉に突き刺した。
吸血オオコウモリは痛みで暴れ始める。私はまた目玉にナイフを突き刺すと、オオコウモリはバタンと倒れチリとなって消える。
「ま、こんなもんだろ」
「さすがだね…。もう実力で負けてる気がする…」
「私は素早い分火力が物足りないからな。ま、適材適所だ」
コウモリはきっと素早いだろう。
ミカボシの得物じゃ当てづらいはずなのだ。機動力で言えば私の方が断然上だからな…。
「さて、この先にもまだ敵はいる。心してかかろう」
私はそう言いながら先は進んでいく。




