神獣をテイムした証明
私の体が宙に浮かぶ。
浮かぶというよりかは浮かされるというほうが正しいか。それとも宙を舞うという表現がいいのだろうか。
《状態異常:気絶 が入りました》
《5分間の強制ログアウトとなります》
というアナウンスが聞こえた後視界が暗転し、現実の世界に引き戻された。気絶状態になるとどうやら5分間ログインできなくなるらしい。私は頭を掻き、一階に降りて紅茶を淹れる。
紅茶を飲んでいるとあっという間に五分が経過したので再びログアウトしたのだった。
「…どこだ? ここ」
ログインすると知らない建物の中にいた。
メイドと思わしき人が私を視認し、どこかに行ってしまう。メイドの一人はここに残り私に近づいてきた。
「お加減はどうでしょう? 痛いところはございませんか」
「あ、だ、だいじょぶっす…」
き、綺麗…。
メイドは黒髪をまくしあげ、私のシーツをめくる。所作が綺麗なんだよな。私が見惚れていると突然部屋の中に誰かが入ってくる。
銀髪で銀色の目をし、マントを羽織った男の人だ。なんつーかすげー煌びやか。
「すまなかった。私どもがあなたを怪我させてしまった」
「あー」
「この責任は私にある。本当に申し訳なかった」
と頭を下げる。
この人は風貌から判断するに偉い人…なのだろうとはわかる。偉い人って嫌だよな。下手に気を使わないといけないからな。
「いえ、いいんですよ。じゃ、私行きますんで」
「どこへ?」
「どこって、自分が住む街に戻ろうかなって。もう王都に用はないですし」
武器も買ったし用事はもうすでに済んでいる。これ以上い続ける理由はない。
「今は行かないほうがよろしいかと思いますわ。神獣様が近くで眠っているという話ですもの」
と、今度は違う女性が入ってきた。
メイド服というわけでもない。だがしかし、その振る舞いには気品があり、どこか偉い人の御令嬢なんだなーとは思わせる。
歩き方も上品。
「大丈夫っすよ。神獣くらい」
「あなた…神獣様を侮辱しているの?」
「そういうわけじゃなくて…」
私は手の甲を見せる。手の甲を見せると男とその御令嬢は私の手の甲を見る。すると驚きの表情をしていた。
牙が描かれた紋章。見る人が見るとわかるはずなのだ。
「なぜこれを持っている! 自分で彫ったのか!」
「神獣様の紋章を勝手に使うなんて…。罰せられるもの。よく見せようと思いましたね」
「違いますよ。これは本物です。ちょっと広いところに移動しましょうか。平原かどこかがいいですね」
そういって私たちは場所を移動する。
男たちは騎士を連れ平原に来る。私は紋章に魔力を込めた。すると、紋章からハイドが飛び出してくる。
「よう、突然ごめんなー」
「ガル」
許すといっているようだ。
私はハイドにかけより、背中に乗る。ハイドは目の前の男たちを見て攻撃するのか聞いてくるがダメと言っておいた。
私はハイドの背から降り、召還を解除。男たちに近づいていくと男たちは傅いた。
「神獣様の使徒でいらっしゃったのですね」
「違う違う。普通の人間だっての」
「普通?」
「前に戦ったら認められてテイムしたらこの紋章が出たんです。使徒でもなんでもないですよ」
精竜人だしたしかに光ってるから神聖な何かなのかな?と思っても仕方ないだろうが…。
「な、なるほど…。失礼いたしました。疑った自分をお許しください」
「私も大変失礼いたしました」
「いえ、いいんですよ。じゃ、私帰りますので…」
そういってジキルタイガーをまた呼ぼうとすると。
「「お待ちください」」
肩をガシっと掴まれた。
「まだお詫びをしておりません」
「あなたとは気が合いそうですね」
「え、何。まだなんかあるの?」
「王城に戻りましょう。さあ」
なんだこいつら。
力強いっての!




