武器を買おう
職業に就いたということで今度は武器を購入することになった。
武器屋に来ている私はその品ぞろえの多さに少し驚いていた。剣や大剣、杖に短剣などもあり、グローブと呼ばれる武器もあった。
グローブはボクシングに使われるグローブだったり腕に巻く包帯みたいなのもある。
「ほえー、いろんなのがあるんだなぁ」
と、見ているとひとりのプレイヤーが話しかけてきた。
「お嬢ちゃん大丈夫? 日本語読めるかい?」
と、女性が話しかけてくる。
私は誰?と思うように見ていた。
「あ、ま、マイネームイズユーナ。アイムプレイヤー」
と、発音がぎこちない英語で紹介してきた。
「あ、いえ、日本語喋れますよ」
「そうなの?」
「これでも日本人ですから」
日本国籍を取得しているから日本人だ。
「え、ど、どう見たって外国の顔…」
「こいつは両親がイギリス人だからな。日本国籍を取得しているイギリス人だ」
「なるほど、どうりで外国美人なわけだ…」
外国美人?
でもたしかにゲームで外国人がいるってのもなかなか珍しいな。純日本人しか見ていないなプレイヤーは。
うーん。私浮いてるかな。
「何かお探し物?」
「武器を探しに…。武闘家にしたんでその武器を…」
「武闘家! 珍しいね。みんな武器を使うから武闘家って人気ないんだけど」
「武器使うの苦手だし…。おすすめありますか?」
「おすすめ、お勧めねぇ…」
ユーナさんは武器をいろいろ探し始めた。
私も隣で武器を見る。人気ない武闘家の武器もたくさんあるもんだ。
「これなんかどう?」
と、出してきたのは指を四本いれるところがある鉄の塊。メリケンサックというものだった。
「これは軽いけど攻撃力はなかなかあるよ。レベル28だからこれがいいんじゃないかな」
「じゃあそれにします」
メリケンサックか。悪くない。
たしかに殴る武器としてはよさそうだ。いや、たぶんこの包帯も軽いんだろうけど攻撃力が心配だしな。
「じゃあお金は3千ギンとなるんだけど…ある?」
「…あ」
そういえば、私お金持ってねえ!
昨日始めたばかりだし何も売ったり買ったりしてないから初期の所持金1千ギンのままだ。素材とか売ってないもんな…。
すると、クシナダがお金を出した。
「このぐらい私が買ってやる。感謝するがいいぞ!」
「あ、ありがとう。さんきゅー」
「ふはははは!」
お礼を言われたのがうれしかったのかクシナダは高笑いをしていた。
「毎度ありです。あ、そうだ。あなたの名前とフレンド申請したいんだけどいい?」
と、ユーナが話しかけてきた。
見たところ怪しい人じゃないしな。同年代の女子に見える。
「いいよ。名前はミーミル」
《ユーナからフレンド申請が届きました》
ときたのでメニューを開きフレンド申請を承諾した。
「ありがとう! 私外国に憧れがあるから外国人に会えたのがちょっと嬉しかったんだよね!」
「イギリスはあんまりいいとこじゃないぞ。飯まずいし」
「それでもだよ! ロンドンとか行ってみたいし!」
ロンドンなぁ。ロンドンといえばロンドン橋落ちたって言う童謡が有名。不吉すぎる。
「たまにイギリスの事とか教えてよ!」
「まあ暇なときだったらいいけど…」
「マジで!? ありがとー!」
元気な子だな…。うちのミカボシと同じくらい元気だ。
「ミーミル。いくぞ。そろそろミカボシがログインすると思うからな」
「あ、そうだね。じゃ、また来ますー」
「また来てねー!」
ユーナは手を振ってきたので振り返してあげた。元気な子だな…。