試練は何で終わるのか ①
翌日朝9時くらいに起床し、下へ降りてミルクティーを沸かす。
こうやることも特にない日は寝ぐせとかはそのままにするぐらいはちょっとぐうたら。ミルクティーを飲み干し、部屋に戻りログインする。
ログインすると二人は戦闘態勢をとっていた。
「なに?」
「何か知らないけど処刑人が来てるからさ…」
「あ、ん、依頼人だよ。昨日訪ねてきたんだ私に」
そういうと二人は呆けた顔をしていた。
「待たせたね。いこっか」
「ちょ、ミーミル!? 話を!」
「帰ったらするよ。つってもジキルタイガー関係だから私ぐらいしかできないよ」
そう言うと納得したのか二人はオッケーといって早く行ってこいと言われたので私たちは外に出る。
外に出て、歩きながらエーデルさんの話を聞くことにする。
「こちらは孫のハイデル。挨拶しろ」
「ハイデル・デフリル・ラプソデイ、です。よろしくお願い申し上げます」
「よろしく。ま、私は君の試練の中継役? になればいいの?」
「そうだ。ジキルタイガーの言葉が分からないから中継してほしい。それだけだ」
「動物の言葉が分かる人なんていないと思うけど…。私も何となく感じるってだけだし」
「…そうなのか?」
「動物は人間語は喋らないからねー。私もそれとなく翻訳はしてみるけど会ってるかはわからん」
それともジキルタイガーだけが喋らないのだろうか。
「ジキルタイガーは喋らない、か」
「それ以外は喋るんですか?」
「ああ。他は人間の言葉を話す。我ら処刑人は試練を課される神獣は違うからな。私は違う神獣だった。私の父もジキルタイガーでもなく、私の試練の神獣でもなく違う神獣だ」
なるほど。サイクルしているというわけか。
今回はジキルタイガーが試練を課す立場であると。ジキルタイガーだけだったらどうやってクリアしたんだろうとか疑問があったが別々ならば納得がいく。
「ジキルタイガーはプライドが高いと聞く。きっと下に見ている人間の言葉は話したくないのだろう」
「そうかもしれませんね」
「父上、今回の試験は厳しく…?」
「なるかもしれぬしならぬかもしれぬなぁ。覚悟を決めておけ。戦う準備も整えておけよ」
そういって私たちは門の外に出て森の中を行く。
ジキルタイガー…ハイドは今聖域で寝ているだろうな。私たちは歩いていくと聖域に入った感じがする。
二人も問題なく入れたようだ。神の使いというだけあるのか、聖域には入れるらしい。
ハイドは泉の前ですやすや眠っていた。
「よー、ハイドー」
そう声をかけると耳が立つ。
のそっと起き上がりこちらを向くと威嚇し始めていた。
「ハイド、神の使いだ」
「ガル? ガル」
ハイドはそのまま座る。
すると、私の頭に手をついた。
《神獣化を発動します》
そういうと私の体がジキルタイガーに変わっていく。
強制発動?
〈これで話せるな! ミーミル!〉
「あ、これハイド? この状態になると喋れるのか…」
なるほど。神獣化するとハイドと喋れるんだ。
〈で、神の使いがどうしてここに?〉
「試練、だとよ。ほら、神獣は試練を遣わせるとか言ってるそうだし」
〈もうそんな時期かよ…。試練、試練ねぇ。喧嘩?〉
「好きだねぇ…」
〈当たり前よ! ミーミル、喧嘩しようぜ!〉
「いや、今は私じゃなくてあっち…」
〈そうだった!〉
ハイドってこんなキャラなのか…。
ハイドは何やら考える仕草をした。すると、何かを思いついたらしい。
〈じゃあ、ミーミルと喧嘩しておいらに敵う人物になりえるか。それにするよ〉
「私を巻き込むの…」
〈おいらの主でしょ。おいらはミーミルの強さに惚れたんだよ。ミーミルと戦って才能を感じないようだったら認められないね〉
「なるほど、一理ある」
〈でっしょー? ということでお願い。神獣化は使用しないことね。悪役に徹してね〉
「あいあいさ」
私は神獣化を解く。
「試練の内容は?」
「んー、とりあえずそんなんはどうでもいいから、ハイデルくん。私と喧嘩しようか」
私は拳を構える。
エーデルはどういうことだという顔をしているのでこちらに来いと伝える。
「この試験は私と戦ってジキルタイガーを認めさせること。ようするに才能を見せろということ」
「なるほど。理解した」
エーデルは距離をとる。
「さあ、ハイデル君! 私を倒しなさいな!」
「わ、わかりました。やれ、というならば!」
ハイデルも槍を構える。




