兄妹喧嘩?
私はもらった装備を着てアマノイワトの拠点に戻る。
ミカボシ、クシナダの二人もログインしており、フーとリオンが作る何かに興味津々なようで座りながら二人を見ているようだ。
「よーっす」
「どこい…って装備滅茶苦茶変わってない?」
「まあ全部一新したからな。全部貰い物」
「Sランク装備じゃないか…。しかも、現最強防具とされている胡蝶の道着上って…。レシピは手に入らず、特定のクエストで低確率で入手、しかも存在するのは一つだけって言う防具だぞ…。何か要求とかはされなかったか?」
「いや、特には…。進化の方法を聞かれて連れてかれて話して意気投合してもらったっていうかそんな感じだし…」
そんな防具をぽんっと上げれるトッププレイヤーこえー!
まあ、たぶん進化した私は良くも悪くも狙われるだろうから装備もよく整えておけということかもしれないが…。
なにかお礼をしないといけないな。流石にもらいすぎだと思う。
「それ誰からもらったの?」
「黄金の煌きチームリーダーのオルタナさん」
「うっそまじで!? ランキング一位の人ってこんなの簡単にあげれるんだすっげえ!」
「気前がいいというかなんというか。私だったら考えられないぞ」
私たちがワイワイ話していると。突然扉が開かれる。
入ってきたのはデコイさんだった。デコイさんは真剣な顔をしている。
「ありゃ、デコイさん? 何の用ですか?」
「ちょっとね…。おい、フー」
「なんですかー? 今忙し…」
と、フーが振り向いた瞬間、大量の汗をかき始めた。え、知り合い?
「お前何呑気にゲームしてんだコラ! さっさとログアウトして宿題せんかいボケ!」
「ひいいいい!? お兄ちゃん許してぇ!」
「何ゲームしてさぼってんだ! 夏休み終わったのに夏休みの宿題終わってないのお前だけだぞ!」
…お兄ちゃん?
「ええええ!? 兄妹!?」
「そうだよ。一応兄妹。チームメンバーを調べてみたらフーって名前があってもしかしてとは思ったけど…」
「み、ミーミルさんお兄ちゃんとフレンド!? なんてこった敵が増えた!」
「何が敵だバカ!」
と、デコイさんはなんと剣でフーを切りつけた。
フーはキルされ、強制的にログアウトしたようだ。死ぬと10分間ログインできなくなるんだっけ。そして拠点がある場合は拠点でリスポーン、無い場合は噴水広場でリスポーンだったか。
でも妹をPKって…。
「あの、やりすぎでは…」
「こうでもしないとやらないからね。僕もさっさとログアウトして監督でもするよ。ご迷惑をおかけしたね。あとリオンくん。あの子いつも迷惑かけてごめんね」
「あ、いえ…いつも助けられてるんで…」
「…妹は人助けはするくせになぁ」
と、ぼやきながら出ていってしまった。
とてつもない兄妹喧嘩っていうかなんていうか…。
「クシナダって弟と妹いたよね。あんな感じで喧嘩するの?」
「弟、妹は別になんもしないぞ。喧嘩はそれほどしたことないな。わがまま言わないいい子だからな」
「なるほど。灘を反面教師にしてるんだね」
「どういうことだ?」
「そうかもねー。私も従妹くらいしかいないからなー。ミーミルは?」
「私も従妹ぐらいだ。っていうかイギリスにいるからなかなか会いに行ける距離ではないな」
イギリスにいたころはよく遊びにいっていたもんだが日本に来たからなぁ。イギリスに戻るのは二年前にお墓参りにいったぐらいか。
「ミーミルの従妹見てみたいなー。きっとかわいいんだろうなー」
「そんなことないぞ。クソガキだ」
結構わがまま少女だったからな…。




