アニキスは元死刑囚
アニキスは囚人たちが怪しいことをしてないか見ているということで私はあのヘルト看守長を追うことにした。
ヘルト看守長はすぐそこにいて座っている。私は物陰から黙ってみていた。
「俺うまくやれてたかな……。あの男をだますのは厳しいぜ……」
「あいつも死んでたら俺らの仲間にしてやったのに」
敵は複数人いる。声からして二人。
死んでいたらという言葉を聞くにあの脱獄囚たちに間違いないだろう。ギャアルもつれてくるべきだったか。
まあいいとして。
「俺が怪物となって騒ぎを起こしお前がその隙に囚人たちを解放する……。ちゃんと手はずは整ってるな?」
「あたぼうよ。ちょいとしたイレギュラーがあったが……。怪物になった際アニキスを殺せばいい。あいつだって許されない犯罪者だからな」
そう笑う二人の声が聞こえる。
やっぱりアニキスはイレギュラーだったか。あの男たちはアニキスが気づいてることを知らない。だからこそまだ対策はある。
「作戦はもうそろそろだ。王がよこしたあの二人にいたときに脱獄されたとなっちゃあ王の信頼も落ちるだろうよ」
「よし、そろそろやるか……」
まずい。もうやるのか。
私は爪を装備した。
「……っ!」
「ゆっくりとお休み」
と、男の声が聞こえてくる。覗き込むとアニキスが何か薬をかがせていた。男たちは目を閉じてそのまま地面に倒れる。
私はアニキスに近づいた。
「アニキス!」
「っふぅ。あぶねぇ」
アニキスはぱんぱんと手を叩いた。
「とりあえず麻痺毒でしびれさせた。化け物になってもしびれたままだろうぜ。ギャアルの毒はよく効くな」
「な、なぜ……!」
「お前らは詐欺師じゃないからわかりやすかったぞ。とりあえずミーミル。ちょっとスプラッターな光景になるから離れてろ。見たいならそこで見ていろ」
というので私は見ることにした。
麻痺して動けない男たちの手をつかむ。看守を名乗っていた男の包帯を取ると手の甲に星の焼き印があった。
アニキスはナイフを取り出し、手首を切断したのだった。
「い、いぎゃああああああ!!」
「お前もだ」
二人の手首を切断した。
R18ものかな? まあスプラッターって警告されてたしR18指定になる光景をカットする設定も解いてるから見れるんだけどさ。
「俺の推測だとこの星型の焼き印が化け物になるための媒介だと思ってる。だから多分二度と使えないだろうぜ」
「なっ……! 何で知っている……。気づいてるのは俺だけだと思っていた、のに」
「当たりか。この焼き印がなにか効果あるのはわかっていたがそういうことか。俺には化け物になる力もないみたいだから死んでるかどうかの有無があるのか」
アニキスは淡々と推測を述べる。
男たちはしびれたまま床に倒れていた。
「さて、お前らはこれからどうする? 俺はお前らを突き出してもいいぜ。それともいっそここで楽にしてやろうか」
「ひ、ひいいいい!?」
「同じ牢の中にいたよしみですぐに殺してやろう。さ、どうする?」
いい笑顔を浮かべて脅すアニキス。
アニキスもやっぱり死刑囚だったこともあり妙に頭のねじ外れてるんだよな。おっかねえ。
「捕まる! 捕まるから……」
「命だけは……!」
「そうか。じゃ、もう一つ。本物のヘルトさんはどこにいる? 殺したとは考えにくい。死体をどこかに持ち運ぼうものなら見られるだろうしこの牢獄は人目のつかないところはない」
「独居房に監禁してる!」
「わかった」
アニキスはそういって独居房に向かう。
男たちはちょっと涙目だった。




