孤高の女狩人
黄金の煌き…。たしかにランキング1位だ。
あの二人も結構強そうな見た目をしていたし、ジキルタイガーも苦戦すると言っていた。そこを見るに倒せたりするということだ。
「実力者ってこえー…トッププレイヤーってやつこえー…」
そう思いながら歩いていると。
突然目の前の女性が一気に距離を詰めてきてナイフを突きつけてきた。
私はそれを躱しナイフを殴り飛ばす。
「見事」
「なんだよいきなり…」
「試すような真似してすまない」
ナイフを拾い上げ、しまう。
今日はやけに絡まれるな。なんかそういう星の下に生まれたのか?
「私はクロム。職業は狩人。どこのチームにも所属はしていない」
「私はミーミル…。で、何のよう?」
「あなたの容姿について聞きにきた」
「おっ、私のこのナイスバディについての秘密? いやー、美少女は参るなあ」
「その光について知りたい」
「やっぱりね…」
私のボケにもツッコまずスルーしやがって。そこはつっこむとこだろ。自分で言うなーとか。悲しくなるぞ私は。
「もう何度も聞かれたからいいけど進化したんだよ。聖域でね。はいおしまい」
「…なるほど。聖域に入るには?」
「ジキルタイガーの許可が必要だけど私しか現在入れませんこれでいい?」
もうそんなこと聞かれまくって嫌になってきたよ。
このクロムさんって人もなかなか強そうな見た目はしてるけどさぁ…。
すると、後ろからオルタナさんの声が聞こえる。
「そうだ、お礼をして…と、クロムか。なにしてるんだ?」
「オルタナ。質問していた」
「そうか。で、うちに入る決心はついたか?」
「私はどこにも入らない。そう決めてる」
「強情だな」
え、なに? 二人は知り合いなの?
「ま、いくらでも待つよ。君が入ってくれたら大いに助かる」
「実力者ばかり集めてるチームに私はいらない」
「そんなこというなよ。君だって実力で言えばこのゲーム随一なんだから」
…え、そうなの?
ってか何かの置いてきぼりな感じ…。
「待ってるから。…で、ミーミルさん。その、お礼としてはあれなんだけど防具をやるよ。初期装備のままだろう? 武器からして武闘家だからこれを着るといい」
差し出されたのは胡蝶の道着上と胡蝶の袴、胡蝶の足袋と不死の鉢巻というもの。
ランクはSランク防具で胡蝶の道着上は姿をぼやかすことができるということ、それにより見えなくなるということ。
胡蝶の袴は素早さを2倍アップ、胡蝶の足袋は足音消す能力と足跡を残さないということ。不意打ちには便利だ。
不死の鉢巻は即死攻撃に匹敵するのを無効化するという。
「いいんですか?」
「いいの。初期装備だと何かと大変だし、不死の鉢巻はいらないから」
「そうなんすか?」
「その鉢巻はレベルがあがればあがるほどいらなくなるからな」
へえ、こんな能力なのに?
「もちろん完全にいらないってわけじゃないがレベル低いとボスモンスターとかの攻撃とかでも一撃でやられる時ってあるだろ。でもレベルが上がると普通に耐えちゃうから即死攻撃ではなくなるんだ」
なるほど。レベルが上がるに連れ耐久力、体力もあがるから必然的に耐えてしまうからか。
ただこの鉢巻って…。
「ジキルタイガーにはめちゃくちゃ有効な鉢巻じゃ…」
「そうなんだが、テイムされた今はいらないしな」
それもそうか。ありがたくもらおう。
「私を忘れないで。うーん、私は…何もあげれないからお金あげる。百万ギンくらいでいい?」
「いや、いいですよ」
「襲いかかったお礼も含めて。はい」
と、お金を手渡された。
「ありがとう。進化、か。私も聖域に案内して欲しい」
「あ、いや、今のところ私以外入れなくて」
「そう?ならフレンド登録だけしよう」
と、クロムさんからフレンド申請が届いたので承認。
「あの誰ともフレンドにならないクロムがフレンド申請、だと…」
「え、ぼっち…?」
「違う。いらないだけ。一人の方が気楽でいい。…でも、困ったら呼んで。あなたは悪い子じゃなさそうだから」
と、走り去っていった。
「これはニュースになるな…。ま、俺も行くよ。ミーミルさんのチームメンバーによろしく」
そう言ってオルタナも去っていった。
今日はやけに知り合いが増える…。




