太陽と月
二人は拠点にいた。
私は拠点に入るとクロムも座っており、私たち四人でその黒幕について聞くことにした。
ミカボシは本を取り出す。ぺらぺらとページをめくり、ある神の肖像画が書かれているところで止めて、私たちに見せる。
色付きで書かれたその絵画は褐色肌で赤い目をしていた。
「太陽神アマテリウス……」
「これが黒幕だ」
説明を見てみる。
神話の歴史という本で、死んだ神と書かれていた。
「ギャアル、こいつか?」
「……あっ、そうです。その神様です。思い出しました」
どうやら当たりのようだ。
説明を見てみる。かつて五神が世界を統治していた。太陽神アマテリウス、月の女神ツキナノリ、運命をつかさどる神、ヴァルハラン、時間をつかさどる神、クロノス、空間をつかさどる神ウラノス。
太陽神は太陽を独占しようと目論んだがそのことに怒った四人の神がアマテリウスを討伐しようとし、神々の戦争が始まった。
勝ったのは四神のほうで負けてしまったアマテリウスは死に、地獄へ落ちる。だがしかし、四も無傷というわけではなく月の女神ツキナノリもアマテリウスによって殺されてしまったという……。
「なるほど。太陽、か」
「クエスト名アンダーワールドというのは地獄のことを指しているのだろう」
「地獄……」
地獄からその神がよみがえったというわけか。
「どうやら敵を認識した、ようです、ね」
と、どこからか声がする。
私は声のほうを向くと入り口のほうに紫色の羽衣を着た金髪の女性がたっていた。足元が透けており、この世のものではないことはすぐに理解できた。
「うわ幽霊だぁぁああああ!?」
「幽霊!?」
二人は幽霊だとすぐに察してテーブルの下に隠れる。
「私はツキナノリ……。太陽とは真逆の存在……」
「ツキナノリ。死んだ神様か。神は何度でもよみがえることができるのか?」
「いえ、私はアマテリウスと違ってもうそんなに力がありません……。神様としての力はないでしょう。ですが、アマテリウスが復活したと聞き居ても立っても居られなかったのです」
ツキナノリと名乗る女神はのそのそと歩いてくる。
「私からもお願いします。アマテリウスを放っておいたらこの世界は……」
「闇に包まれる、でしょう?」
「ミカボシ?」
「きっとアマテリウスはまだ太陽を手に入れることをあきらめていない。そして、自分を地獄に落とした三神たちに恨みもある……。太陽を奪ってこの世界をめちゃくちゃにしようってことだと思うんだ」
「太陽と月はこの世界になくてはならない存在……。太陽が人を導き、月が人をいやす……。どちらかが欠けてしまうと世界のバランスが崩れてしまう……。アマテリウスの野望を阻止しなくては世界は……この世界は闇にのまれることでしょう」
さっぱりわからない。
世界が闇にのまれる? つまりこの世界がなくなるということだろうか。スケールがでかいんだよな。だからわかりにくい。
いくら私といえど神様に勝てる自信はないぞ。
「君たち、異界の魂を持つものに月の女神の加護を授けます。月の魔力はアマテリウスの場所へと導いてくれるでしょう……」
《プレイヤーすべてに月の女神の加護が与えられました》
《太陽神アマテリウスの場所が地図に表示されます》
そのアナウンスが聞こえた直後クシナダの手が光りだし、星獣二匹が飛び出てくる。
その二匹の体が光りだし、そして、まばゆい光が私たちを包み込んだ。
そして、光がやむと何かが落ちてくる。
「これは……剣と籠手?」
「その武器は……。神殺しの武器です」
「えっ」
まさか星獣二匹が神殺しの武器でした。
星獣出しておいて出番とかなかったけどこのためでした。




