市杵島姫命
ちょっと短いです…
旅行二日目。
私たちは宮島の厳島神社に来ていた。海のほうを見るとでかい鳥居があり、潮が引いてるときは歩いて近づけるらしい。
私たちは厳島神社の中を歩く。
「問題です。なんでこの島は厳島と呼ばれてるでしょう」
秋時雨先生が問題を出してきた。
厳島と呼ばれる由来、か。うーん。逸苦島ってもともとは書いていてそれだと縁起が悪いから厳しい島って書いて厳島……になったのかしら。
私はそう発言してみると違うとバッサリ切られる。
「ただいつくという字に目を向けるのはいいと思うよ」
「えっと、わからん!」
「私も……」
灘と三日月はお手上げのようだ。
「厳島神社……。それが何か関係してますか?」
木戸君はヒントを求めるように聞く。先生は関係しているといえばしてるかもと言っていた。厳島神社があるから厳島なんじゃないのとは思ったがそれだと厳島神社が先に名付けられている感じがするな。
うーん、わからん。
「お手上げです」
「僕もわからないかな……」
「ま、これは難しいからね。正解は神に仕える島だから厳島」
「え、それだと神仕島になるんじゃないの?」
「仕えるって言うのは齋くって言い方もできるんだよ。だから厳島」
ほえー。そういう語源が。
そういうのってわかりづらいでしょ。地区の名前の由来とかわからないっての。でも、神に仕えるって書くぐらいだからこの島は割と神聖なんだな。
「もともとはここは禁足地だったんだ。鎌倉時代末期ぐらいから僧侶の人がそのおきてを破って住み始めたといわれてるんだよ」
「キンソクチ?」
灘が禁足地って何だと聞いてくる。
「人間が足を踏み入れてはいけないとこだよ」
「心霊スポットか!?」
「違う違う。あれだよ。神がいるから怒らせないように足を踏み入れるなとか神聖な場所だからとかそういうの」
「アテナさんの説明が正しいね。禁足地というのはそういうこと」
それにしても禁足地にすみ始めるのってどうなんだろう。
最初に住み始めた人は何を思って住み始めたのだろうか。神はいないということを言いたかったのだろうか。
昔の人じゃないとそれはわからんな……。
「せんせー、ここはなんの神をまつってるかもわかります?」
「市杵島姫命っていう神様だね」
「イチキシマって厳島と似てる名前の神様だね」
「市杵島姫命をまつってるから厳島という説もあるね」
ヒメ、ヒメか。
クシナダもクシナダヒメっていうものだけどあっちは人間だったような。ヒメってつく神話の人多すぎ。知ってるだけでもコノハナサクヤヒメとかだっているでしょ?
頭こんがらがりそうだ。
「日本神話ってややこしいですね」
「うん?」




