久しぶりのスイッチ
ミカボシたちがクエストから帰ってきた。
私は脅かしてやろうと思い身を隠す。
「ただいまー。ミーミル、留守番あり……って、ミーミルは?」
私はイベントの時に獲得したマントを羽織り、胸元が開けた黒い服を着て物陰に身を隠していた。
ミカボシたちが私を探していた。私は試しにナイトメアバーストをクロムめがけて放つ。クロムはその場に倒れこむとうう、とうなされていた。
「クロム!? どうしたの!?」
「ミカボシ、敵がいるかもしれん。気をつけろ」
「敵ならミーミルがやっつけるんじゃ……」
「ミーミルがいないのをみるにミーミルは連れ去られたか、どこかに幽閉されているか、だ」
仕掛けているのが私です。
クロムを壁にもたれさせ、ミカボシとクシナダは警戒して周りを見ていた。私はかつん、かつんと足音を鳴らしながら近づいていく。
「だれっ……」
「やだなぁ、ミーミルちゃんだよぉ」
私は手を広げ二人を歓迎するかのように笑う。だがしかし、ミーミルじゃないと思っているようだ。ま、本当に騙すためにカラーコンタクトを入れて髪を黒く染めている。
どっきりは本格的に、ね?
「ミーミル、じゃない。ミーミルをどこにやった?」
「あはは。信じてもらえないかー。ま、君たちには関係ないよ。ミーミルちゃんは私にとっても厄介なんだ。だから、不意を突いて眠らせたよ。君たちも眠るかい?」
私はナイトメアバーストを放つ。クシナダがアイテムを取り出しミカボシと自分に振りかけていた。
「眠りを無効化……! 厄介なものを……!」
「ミカボシ、サポートは任せろ。やるぞ」
「わかった」
ミカボシが剣を構えて突撃してきた。
やべ、やりすぎた?
「タイムタイム! 私だってほんとに! 強くてかわいいミーミルちゃんだよ!」
私は髪の色を急いで戻し、カラーコンタクトを外す。
二人は私だとようやく気付き、にらみつけてきた。私はてへっと頭を押さえる。
「なにその顔の紋様」
「だましたな?」
「あはは……。ドッキリ大成功ってね……。ビビったぁ?」
「そりゃビビったよ……。ミーミルに不意打ちを食らわせられる相手って手ごわいこと確定じゃん」
そうなんだよな。気配察知があるから不意打ちは割とやられにくい。
「で、この顔の紋様はソムニが進化して本契約したからこうなった」
「あー、もしかして前のイベントの奴今頃使ったの?」
「そうそう! ソムニは今部屋で疲れて寝てるよ」
そういうと、ミカボシは剣を収める。
そして私に近づいたかと思うと拳骨を私の頭に落としたのだった。
「ビビらせないでよもう!」
「単なるドッキリで殴るなよ……」
「単なるドッキリで眠らせるな。というかダメージ受けてるじゃないか」
「そういうスキルだからねぇ。あとで謝るよ」
私は二人に近づく。
「……ミーミルだってわかってはいるがその顔ちょっと怖いな」
「目のハイライトが消えてるし不気味……」
「だがかっこいいな。私もつけてみたいぞ! 悪魔と契約し世界を支配する! いいシナリオだ。世界の半分は私にくれ! ふははははは!」
あ、やべ、久しぶりになんかスイッチ入ったようだ。
高笑いしながらよく見せてくれと頼まれる。なんか身の危険を感じるので断ったが、クシナダは諦めないのか頼むと土下座してきたのだった。
足をつかみ縋りついてくる。
「ミカボシ、助けて」
「自業自得でしょー。私部屋で報酬を確認してるから」
「そんな無慈悲なっ! この状態のクシナダはめんどくさいって知ってるでしょ!?」
「私たちにドッキリを仕掛けた罰ですぅー。甘んじて受け入れなさい」
ミカボシーーーっ!
まあ悪魔と契約とかは絶対クシナダちゃん反応するよね




