ブレイク・ミーミルハート
パンドラさんからはすぐに返信がきた。
どうやらイベントには参加してないらしい。現実で忙しくなってるから参加できる暇がないということだ。
なので。
「しょうがない。私が解放しようかな」
「そう、だね。それしかない」
諦めたようにデコイさんが言う。
「あと罠はどれくらい?」
「設置できるのはあと一つだ」
「じゃ、この鬼たちの前に設置して。あとは私が頑張る」
といって、私たちの部屋のちょっと奥に罠を設置させた。
私は部屋から出て、歩くとモニターに映っていた鬼が私を見つけて向かってくる。鬼は罠に引っかかりどこかに転移した。
私はすぐに封印エリアに急ぐ。時間がない。
「協力するよ、ミーミルちゃん」
「デコイさん……」
「二人のほうがまだ確立上がるでしょ?」
そういってくれた。頼もしい。
私は封印エリアに向かっていく。先ほどのモニターに映っていた鬼たち。すぐ前の記憶をさかのぼり、どこに鬼がいるのかを思い出していく。
「デコイさん、そっちはだめです、さっき鬼がいたところです!」
「そ、そう? よく覚えてるね」
「必死ですから……!」
考えろ。私は考えたらできる子だ。いける、私ならいける。
私は鬼がいないだろう道を選び、封印エリアの前にやってきたのだった。
「よし、ためらってる暇はない」
私は封印エリアに突入した。
鬼たちは先ほどより増えており、6人になっている。そりゃ解放できる時間があと少しなのだからそれまで防衛すればいいのだ。
「来たぞ!」
「よし、頑張る! 終わりの大地!」
私は終わりの大地を発動させた。
床は凍っていき、鬼たちはつるつる滑る。10秒もあれば触れるっ……! 私は鬼をのらりくらりとかわしていき、封印岩に近づいていく。
だがしかし、一筋縄じゃない。
「よぉ、ミーミル」
「来ると思ってたよ」
と、クシナダ、ミカボシの二人が私の前に立ちふさがった。終わりの大地の効力も切れ始めたのか床の氷が溶けていく。まずい。
最悪捕まってもいい、どうにか触れられる前に触らないと……。
「あーもう、くそったれえええええ!」
私は拳を握り締める。
「てめえらのおっぱ……封印岩触らせろ!」
「今おっぱいって言いかけたよね!?」
「イベント終わったらうっぷん晴らしでお前らにセクハラしてやるううううう!」
「ちょ、何てこと口走るのこのこ!?」
もうかんがえるのはめんどくせえ。
こうなりゃやけくそだぁ! 今のミーミルちゃん、テンションとアドレナリンが滾っている。そう簡単に捕まる相手じゃないぜ。
私は威風蓋世:残夢を使用。
「WRYYYYYY!!」
「やばい、ミーミルが壊れたぁ!?」
残り時間、あと十分。
そろそろ触らないとやばいぜこれはよぉ!
「隙ありだ!」
「なわけないだろうばーーーーか!」
「口悪!?」
「ああ、これミーミル最大限までテンションが上がって滾ってる……。本当に殴り合いのイベントじゃなくてよかったね」
「こっちこそ隙ありだあああああ!」
私は封印岩にとびかかった。
「やっべ」
クシナダが私に手を伸ばしてくる。
クシナダの手が私に触れた。だが、その前に封印岩に私の手が触れた。
「解放っ♪」
「うがああああああ!」
「だが私はご臨終、我が心と行動に、一片の悔いなし。すべてが正義だ!」
私は右手を天に掲げ、そのまま視界が暗転した。
燃え尽きたぜ、真っ白にな……。
「お前イギリス人なのになんでそんなすっげえ古い漫画のセリフを……! 何で知ってんだよ……!」




