ここはどこなのか?
プレイヤーたちを解放し、私は集落エリアに身を潜める。
建物の中に行き、様子をうかがうと鬼たちはどこいった?と騒ぎ始め、追うのをやめたのか封印エリアに戻っていく。
「あぶねえあぶねえ」
私は壁にもたれかかり一息ついた。
それにしても、この集落人がいないのに生活の跡があるのはなぜなのだろう。最近までいたような痕跡がある。集落型の遺跡とかならば埃とかが宙を舞っていてもおかしくはないのだがその様子もないとなると。
「誰かが住んでたのか? ここ数日前まで」
この集落、怪しい。私の勘なんだけどこの集落のどこかにイベントがありそうだ。
「あら、君面白いところに来てるね」
そう言って出てきたのは以前私と契約した氷の大精霊だった。
淡い水色の着物を着た彼女は私にそう言ってくる。
「面白いとこ?」
「この集落は精霊の住処だよ。君生活痕があるって不思議がってるでしょ?」
「精霊が暮らしてるからこの状況なの?」
「そう。ここは主様たちがいる世界じゃないからね。ここは精霊界。精霊が住む世界さ」
「へぇ、そんなとこあるんだ」
「ま、知らなくても無理はないよ。精霊は普段こっちに引きこもってるから精霊の存在はあっちの世界じゃ知る人が少ないからね」
引きこもってるから知られてないのか。
「それじゃここフリザの家?」
「うん、そうだよ。ああ、そういや主様にあるスキルを渡し忘れてた。これをあげよう」
《スキル:精霊召喚(氷の大精霊) を手に入れました》
「そのスキルを使えば私を呼び出せる。主様の力になるよ」
「助かるよ」
「はは、こちらこそさ」
フリザは笑って握手をしてくる。
すると、突然扉が開かれた。赤い装備をした男がたっている。
「いた! 確保ー!」
「やべ」
私は窓から飛びでる。
フリザも後ろからついてきていた。ふわふわ宙に浮いてついてくる。後ろからはあの男が追いかけてきていた。
「主様追われてるの?」
「そうそう。鬼ごっこの最中」
「精霊界で鬼ごっこって大胆なことするね! じゃ、私が助けてあげよう」
そういうとフリザは地面に手をついた。
そして、そのまま地面を凍らせる。凍った地面でうまく走れないのか鬼は転んでしまい、つるつるーと滑っていった。
「お、おお」
「すごいでしょ? それじゃ、私いい隠れ場所知ってるからいこう」
「わかった」
私の手を引っ張るフリザ。
もしかしてイベントって精霊と契約することなんじゃないだろうか。私の場合すでに契約してあるからないだけかもしれない。
ま、精霊と契約できるという線が濃厚か。
「主様何考えてるの?」
「あ、いや、なんも」
「もう少しでつくよ」
そういうと森の泉が見えてくる。
泉の周りには花が咲いており、とてもいい香りがにおっている。
「この泉のほとりにいれば安心よ。ここ、精霊がいないとこの花のせいで幻覚を見せられるの」
「花?」
「においだけは感じるでしょ? 甘い匂い。この匂いは人間の脳に作用して幻覚を見せるんだ。だからここは人間から逃げるのに安心なとこなの」
「へぇ」
幻覚耐性がないと近づけないのか。
ここは比較的安全地帯といっていい。私みたいな幻覚を無効化するスキルもってるやつさえいなければここは安全地帯だ。




