街を襲う魔物
クロムがそりを走らせ、帝都に着いた。
門番さんにアンドルシュ侯爵家の紋章が入ったペンダントを見せるとすんなり通してくれ多野で中に入る。
「帝都でまずは何をするんだ?」
「まず俺たちの活動拠点を探すつもりではいるな。ここでのクエストも受けるつもりでいる」
「だからまずは拠点かなぁ。黄金の煌めきチーム全体で来るわけじゃないけど広い拠点は必要かな。だから拠点を得るために不動産屋にいきたいんだけど」
「わかった。不動産屋で別れることにしよう」
クロムが不動産屋までオルタナさんたちを送っていき、私たちは拠点に戻ることにした。
およそ五日ぶりか。私たちは中に入る。すると、見慣れないNPCの人がたくさんいたのだった。何事だろうかと思うと、鍛錬場のほうで何か物音が聞こえる。
「せいっ!」
「ぐああっ!」
ミカボシが木剣で騎士に切りかかっていた。
「ああ、二人ともお帰り。今クエストの最中なんだ。騎士団の稽古に付き合ってくれということでここでやってる」
「あら、そうなの」
クエストか。
「ならクロム、練習に参加する?」
「ま、いいだろう」
クロムは近くにあった木剣を手に取った。
私も肩を回し準備運動をしていると、ミカボシが私の目の前にやってくる。
「あんたはだめ! 強すぎるの!」
「ええ……」
と禁止されてしまったのだった。
なので私は壁に寄りかかり二人のほうを見る。ミカボシの代わりにクロムが今度やるようで騎士の人が剣を構え、クロムは剣をまだ抜いていなかった。
そして、お互い目を見たかと思うと、騎士がクロムめがけて切りかかる。
一閃。
クロムの素早い剣が騎士を切る。騎士さんが使っていた木剣が粉々に破壊され、騎士さんが膝をついた。
「いけるもんだな」
「クロムもやっぱだめ! 私がやる!」
と、ミカボシがいちゃもんをつける。その時だった。
外が何やら騒がしい。騎士の一人が急いでこちらに駆け寄ってくる。
「隊長、大変です! 街中に魔物が現れました!」
「なんだと!? 稽古は終了だ、直ちに現場に向かい市民の避難誘導をまず先にするのだ!」
隊長と呼ばれた人がそう指示を出した。
「一人は団長に伝えてくるのだ! 急げ!」
「よし、じゃ私は魔物と戦うか」
「私もやろう」
私は爪を装備する。クロムも腰に剣を携えた。
「よし、じゃ、魔物のところまで連れて行ってくれるかな騎士さん」
「何を言うのです! 魔物は我々騎士団に……」
「これでも実力は確かだから戦うよ。案内して」
私がそう言うと困ったような表情を浮かべる。
「案内してやれ。俺も行く」
「わかりました。ではついてきてください!」
私たちは走って騎士の後ろをついていくのだった。
外に出て平民街の大通りに出ると、角が生えたでかいうさぎが建物に頭突きをして壊していた。人はみんな逃げたのだろうか蹂躙し放題しているウサギ。
「こいつは?」
「アルミラージ……。Aランクの魔物だ」
「それなりに強いのか。よし、じゃ、やるかクロム!」
「ああ」
戦闘開始です。




