乗馬スキルを取ろう
武器ができるまで時間がかかる。
それまでこっちの大陸でどうやって暇つぶししてようか考えている。と、いいことを思いついた。私は近くにいたクロムに問いかける。
「クロム、乗馬スキルとるつもりない?」
「乗馬か? ふむ、いいかもしれないな。犬そりをミーミルだけに任せるのも困るし分かれて行動するときに御者役が一人だときついからいずれとるつもりではいたが今とれるならとったほうがいいだろうな」
「よし、じゃ、習いに行こう!」
この世界での乗馬スキルは店に売ってはいるが手に入るのはランダムだ。ランダムスキルのナイフというものを買って乗馬スキルを引き当てる必要がある。乗馬スキル単体では売ってないのだ。
なので覚えることができるのはもう一つの方法を使うのが一般的だ。それは乗馬スキルを持っているNPCから習う。数日かかるかもしれないし一日で終わる場合もあるのでそちらが一般的だ。
まあ一日で終わる場合の人は大抵現実で馬に数回乗ったことがあり乗りなれてる人だけなのだが。
「乗馬スキル持ってるNPCってこの国にいるだろうか。騎士たちから習うのが一般的だろう?」
「そういうクエストあるからねぇ」
騎士団で常に受けることができる馬の訓練クエスト。それをクリアすると全員乗馬スキルをゲットできるようになる。
ただそのクエストは王都限定なのです。
「ま、乗れる人にはこの町にいるから」
ということでやってきたのはメリィ・シープ牧場。
柵に囲まれた中では牛たちが草原の草をもしゃもしゃ食べており、馬も平原内を走り回っている。羊も群れで集まって草を食べている。
「どしたんだっぺ? ミーミルさん」
「あ、この人に乗馬スキルを教えてほしいんですよ」
「了解したべ。うちの馬は初心者にはお勧めだしなぁ。騎士団の馬は荒っぽいから本当に乗りたいならやっぱこっちだべ。うんうん」
自慢げにそう語る。
「んじゃ、まず一匹馬連れてくるんでよ。柵の中に入って待っていてくれだべ。人懐こいの選んでくるからな」
そういって笑顔で馬の厩舎の中に入っていった。
「ん、ミーミルこんなとこでなにしてんだ?」
と、背後から声をかけられる。
振り返ると牛の乳を搾ってるヴァイギングがいた。
「いや、ヴァイギングこそ……」
「俺は暇だから手伝ってんだ。どうも宿の仕事は俺には向かねえの。ドラゴンも最近はめったに見なくなったしよ。狩りすぎたぜ。ガハハハハ!」
なるほど。今回バイトで……。
「連れてきたべ。この子はハイデンマルク号。マルクと呼ぶべし。こいつは人を乗せたがる馬でなぁ。馬に一度も乗ったことがない初心者にはお勧めの一匹だ。鞍はすでにつけてある。もうすぐにでも乗れるぞ」
「……まずはまたがってみることにしよう」
「んだ。いきなり走る練習するよりかはまたがって馬の気持ちを理解するべし」
そういってメリィ・シープさんは馬を座らせ、クロムがマルクにまたがる。
マルクは立ち上がった。
「うおっ、意外と高いな」
「そりゃねぇ。クロム怖くない?」
「怖くはないな」
「ならよかった。怖いと思う人もいるからさ」
割と高いからね。
「まずは乗ることはできたな。まずどこに力を入れたらいいかを言っておくべ。まぁ、太ももに力を入れるんだ。足でしっかりしがみついておかないと馬に振り落とされるべ」
「わかった。いや、わかりました」
「そして走らせるのなら前のめりの態勢をとることが大事だべ。腰を伸ばしてると風をうけてスピードが出なくなる。また振り落とされやすくなるべな」
クロムはなるほどといって言った通りに動いていた。
これは覚えるのも早そうだ。




