新しい国に行けるようになったらしい
家に帰宅し、階段をかけあがる。
一週間もゲームやめてたんだ。そろそろゲームを……。でも学校に連絡……。
「いいや限界だっ! 押すねっ! 今だっ!」
私はぽちっと電源ボタンを押した。
それゆけー。
ログインし、メインルームのほうに行くとすでに三人ログインしていたのだった。三人と一人。クロム、ミカボシ、クシナダとドラゴ。
「あれ、ドラゴはいったの?」
「ま、友達だし」
ミカボシがそう説明してくれた。友達だから入れたのだ。
「ドラゴ加入以外に変わったことは?」
「あー、それを言おうと思ってたの」
「それ?」
どうやら私がいない間になにかあったようだ。
大事なものならすぐにやりたいが……。私はミカボシの次の言葉を待っている。
「違う国に行けるようになりました」
「違う国?」
「一週間であの飛行船を実用化まで持ってって他国に渡れるようになったんだよね。高々一週間で行けるのはすごくない?」
「そりゃすごい」
となると活動の幅が大きく広がるということだ。
「ま、運転する人はあのウォグルしかいないらしいし一日ひと便だけなんだけどね。ということで、みんなでいってみない? ちょっとここ留守にしてさ」
「おっけー。いこう」
違う国に行けるとなると……。新しいモンスターもきっといるだろうな。まだ見ぬモンスター。楽しみだ。
「で、情報によるとコートの類が必須らしいからもってくようにだって」
「となると寒冷国か」
「年がら年中雪が降ってるような国でコートがないと状態異常とは違ったステータスで健康異常っていうステータスが出てスタミナがMPを消費する量が二倍になるんだって。鎧とか着てる人はそういう効果ないらしいけど……。魔法使いとか鎧を着ない職業はコート必須らしいよ」
「となると必要なのはミーミルと私とクロムか」
「私はコートの類はもっていないな。必要になるなんて思ってもいなかったから」
「安心してよお三方。ちゃんと私が用意してありまーす」
と取り出したのはピンクでかわいらしい模様があしらわれたセーター、ブラウンのコート、鮮やかなレモンのような色でフード付きのジャンパー。これがコートらしい。
ピンクは私に似合わないから……。
「私ジャンパーもらい」
「あっ! じゃあ……」
「私はコートをもらおう。ピンクは私には似合わないんだ」
「わ、私も似合わないのだが!?」
私がジャンパー、クロムがコート、クシナダがセーターに決まった。私は早速装備してみる。
「どう?」
「スノボしてる人みたい」
「似合ってるぞ。ミーミルはスポーティの印象が強いからな」
「似合ってるよ」
と、クシナダ以外は褒めてくれた。クロムも早速装備してみたようで、よく似合っている。コートはやっぱクロムのようなりりしい女性によく似合うな。
そして、クシナダはというと。
「似合わねぇ!」
「顔はクールっぽいのにピンク!」
「失礼だと思うけど二人とも……」
「そ、そうだぞ」
「クロムも笑いこらえてんじゃん」
絶妙に似合ってない。
ぷりぷりとしたぶりっ子というタイプじゃなくどちらかというとクールビューティという顔立ちのクシナダはピンクが似合わない。っていうかここにいる人ミカボシ以外はピンクに合わないのだ。
「うるさい! 笑うな!」
「あはは。もともと私がファッションとして着ようと思って買ったやつだからねぇ。こんな形で必要になるなんて思ってもなかったからさ」
「うう」
クシナダはちょっと涙目だ。
「んじゃ、さっそく向かおうか。時間もちょっとぎりぎりだし」
「クシナダ、ほらいじいじしてないで」
「……」
クシナダよ、すまんな。




