クエストのお礼
飛行船は元にあった工房につき、私たちは船から降りる。
国王と魔王様は満足そうな顔をしていた。ウォグルは未だに緊張しているらしく、少し肩肘がこわばっており、最後にゆっくりと降りてくる。
「ウォグルよ」
「は、はいっ!」
国王がウォグルに声をかける。
「そなたの発明、とても素晴らしいものに感じた。ぜひ、この飛行船を活用できるようにしてほしい」
「は、はい!」
「だが、そなた一人だけに背負わせるのも重荷であるな? 我が国の優秀な技術者を下につかせよう」
そういうと、ウォグルは顔を明るくする。
確かにこれを一人で……とするのはとても難しいし、ウォグルもこの技術を広めたいと思っているだろう。
一つの国の歴史を変えるようなことだ。飛行船の登場はこの国にとっても望ましい事なのだろう。
「か、感謝いたします!」
「励むように……」
そういうと、国王の元になにやら人がやってくる。
「国王様、帰りの馬車をご用意いたしました」
「うむ。では、私は行くとしよう。有意義な時間であった」
そういって、国王は去っていく。
「俺からもこれをやろう。御守りとして持っておくがよい」
そういって魔王が手渡していたのは魔王の宝玉と呼ばれるものだった。黒い魔力が中で渦巻いており、ちょっと禍々しいが御守りとしては本当にすごそうなものだった。
それを恐る恐る受け取るウォグル。
「いえ、これはあの人たちにやってください!」
「ほう?」
「俺はただ開発しただけです! 一番つらかったのは素材を集めた彼女らだと思ってますので!」
「ということだ。いるか?」
魔王様は笑うようにこちらに玉を向ける。
魔王の宝玉、ランクはSSランクのようだ。結構レアな素材らしく、このクエスト以外で手に入るかどうかはわからない代物……。
となると、欲しいよなぁ。私はミカボシを見る。
「でも……」
「いらないっていってるんだ。受け取ったらどうだ?」
「ならありがたく」
と、ミカボシは魔王の宝玉を受け取る。
「では、俺らも行くとしよう。お前ら、帰るぞ」
「「「「御意」」」」
魔王様たちは四天王を連れ、工房から出ていったのだった。
残されたのは私たちとウォグルのみ。ウォグルはこちらに体を向ける。
「改めて…ありがとうございました! 飛行船を開発できたのもアマノイワトの方々のご尽力があってこそです!」
「ま、まぁ……」
「お礼としてですが……その、思ったより開発にも費用が掛かってしまったのでそんなにお金がなく……。その、少し待っていただけると」
「いや、この宝玉で大丈夫だよ。私たちもいこっか」
「そうだな」
といって、私たちも工房を後にすることにした。
アプデが終えた後のこともちょっと気になるしな。アプデが終えて何が変わったのかも私たちはまだ知らない。
アプデの情報、私一切調べてないからな……。




