イケメンモデル
そばを食べ終えて、私たちは別れることになった。
私は家に戻り、二階へ上がってゲームにログインした。今日はレベル上げをやろうと思う。ハイドのおかげで少し遠くまでいけるようになったからな。強いモンスターとかもいるかもしれない。
私は拠点から出て郊外に向かおうとしたときだった。
背後から肩を掴まれる。
「な、なにっ?」
振り向くとどこかで見たような顔があった。
同級生ではない…。だがしかし、どこかで見たことがあるような。
「やっぱアテナちゃんだー!」
「だ、誰?」
「私だよ。渚 凪! 前に連絡先交換した渚!」
あー、そういや前にショッピングモールで…。
どうりで見たことがあるわけだ。渚さんはなんていうか、ニンジャみたいな恰好だな。
「顔半分隠れてるからわからないかー。これならどう?」
と、頭装備を取ると確かに渚さん。
「ゲームやってたんだね! アテナさん!」
「ま、まあ」
「あ、私はゲームではナエギだから! そう呼んでね!」
ナエギね…。
「私はミーミルです」
「ミーミルちゃん! 覚えたよ」
《ナエギからフレンド申請が届きました》
フレンド申請が届いたので承認した。
まあ、知らない仲ではないしね。ナエギさんはなんていうか見た目で言うとめちゃくちゃ可愛い、というよりかはカッコイイのほうが近い、かな?
身長も高くてスタイルもいい。そこはモデルだからだろうが…。なんていうか男のような感じがする。すらっとしている男みたいなスタイリッシュさがある。
「ナエギさんってかっこいいですね」
「そう? 嬉しいなー」
「ちょっとかっこいいセリフを一つ…」
私がそう要求すると嬉しそうにして咳払いをした。
「俺だけを見ろ。お前と一緒にいられるのは、俺だけだぜ」
「うおっ、イケメン!」
「でしょー? イケボの練習してたんだよねー」
きりっとしててすごいかっこよかった。世の中の女性が惚れる理由が分かる気がする。危うく私も少し惚れそうになった。
「ところでさミーミルちゃん。ミーミルちゃんってイギリス出身だよね? 今度イギリスでロケあるんだけどさ、お勧めの店とかある? 休憩の時に食べに行きたいんだ」
「うーん、イギリスのおすすめか…」
イギリスは食文化が食文化だからなあ。外食するより母親が作った方が美味いからあまり外食とかはしてないしオススメっていうオススメはわからないけど…。
「うーん、記憶はちょっと古いんであれですけどスパイスオブインディアンとか美味しいですよ」
「へぇ…。それってロンドン市街?」
「そうです。ロンドン市街にあるレストランでカレーとかが美味しいんですよ」
「へぇ、カレー屋?」
「カレーが多いですけどカレー屋ってわけじゃないですかね」
ちゃんと肉料理もある。
「おっけー。わかった。あとさ、フィッシュアンドチップスっておすすめ? よく聞くけど」
「日本のは美味しいですよ。日本のは」
日本で食べた時はまじで美味かったなぁ。イギリスに年に一回は戻ってるんだけどその時に一度食べたっけ日本と比べてまずいの何なの。
いや、食べた店が悪いんだと思うけど。魚とか生臭いし食べられたもんじゃなかったわ。
「あまりおすすめはしませんよ。結構まずいです。もちろん店によっては美味しいところもあるかもしれませんけど…」
「じゃあやめとくね」
と、ナエギさんは時間を確認したのか少し慌てていた。
「んじゃ、私急ぐからまたね! たまに一緒にクエストやろうね!」
「はい。また」
走ってナエギさんはいってしまった。
さて、私も行こう。




