夕方に駆ける ②
あのアイノという後衛のやつをなんとかしたいが周りの奴がどうしようか。
とりあえずジキルタイガーのナイフを回収し、逃げながら考える。魔法つかいは仕留めたので遠距離狙撃される心配はないのだが……。
「しょうがねえ、正々堂々正面から突破するしかねえ!」
考えるのが面倒くさくなってきた。
ごちゃごちゃ考えるのもさっきみたいに油断を誘う。油断してるからこそあの魔法を受けてしまったという反省点もある。
「もう一人っ…!」
私は隙をついて殴りかかったのだが、大剣から持ち替えたのかでかい盾を持った男が私が狙おうとしていた男の前に立ちふさがり、私は盾をぶん殴る。
男は少し後ずさったが、ダメージが入っていない。ちっ、タンクか。それもそれで厄介だ。どう仕留めるか考えなくちゃならないじゃないか。
「ありがとう、ガスター」
「おう。油断すんなよ」
「仲いいねぇ……」
私はとりあえず盾の男をどうにかしよう。
「でも、なんか素早さが下がってるみたいなんだ。うまくよけれないって言うか……」
「俺もだ。ひょっとするとスキルかなにかでやられてるかもしれねえ」
「そうだね。それも気になるけど……こっからどうする?」
あっちが相談し始めていた。
警戒は解いてないようでこちらをじっくりと見ている。なら、そろそろ闇の二面性を発動させちゃおうかな。
私は久しぶりに闇の二面性を発動させた。すると、容姿の変化に驚いたのか目を見開いている。
「それに、使ってなかったスキルも使ってみよーっと」
私は腕に電撃をまとわせる。
黒い稲妻というスキルだ。前に手に入れてから一切使ってなかった。まだ死の運命を固定するスキルもあるがそれはつまらない。
やっぱり自分で倒していかないとつまらないからね。
「とりあえずタンクの人麻痺ってね!」
私は素早く回り込み、タンクの人を殴ると麻痺してくれたようで動かなくなった。30%で麻痺るっていうけど一発。さすが私。運がいい。
痺れたタンクはそこまで脅威じゃない。私はタンクの人の顔面を殴る。タンクの人は吹っ飛んでいった。が、二発食らわせたのに死なないという頑丈さ。
私は次に狙うのはリーダーであろう片手剣を持った男の子。
「それじゃ、一発で仕留めるか」
「こ、こい!」
「……そういや君名前は?」
「は、ハレルヤっていいます!」
「ハレルヤくん。尋常に勝負と行こうか」
ハレルヤが剣を持ちこちらを睨む。
そして、つま先が動いたかと思うと剣を突き出してくる。ま、流星武闘+闇の二面性で素早さがものすごく早くなってる今の私に敵うわけはない。
私は後ろに回り込み、背中を殴った。ハレルヤは吹っ飛んでいき、ポリゴンとなって消える。
「ば、ばいんどぉ!」
「うざったいってのぉ!」
「きゃあ!」
私はすぐに距離を詰め、アイノという女性に一撃。たぶん闇の二面性発動してなくても倒せてはいたが……。ちょっと怒鳴ってしまった。テンションが高ぶりすぎた大人げない……。
さて、残りはあと一人。だが、その一人も虫の息だ。
「これでおしまいかな!」
こちらに立ち向かおうとしてくる男の子。ガスターっていうんだっけか。ガスターが盾を構えながらじわじわと近づいてくる。
守りを捨てないというのは私にとって一番格好の的……ではなく正解なんだよな。そう守りを固められると手出しがしにくい。
私はとりあえず距離を詰める。
一瞬で後ろに回り、間髪いれずに攻撃を加えた。さすがに二発も高火力の物理攻撃を食らっているので三発目は耐えない。ポリゴンとなって消えたのだった。
『そこまで! 四人、戦闘不能。勝者はミーミル様となります。負けた側の人を蘇生いたします』
勝ったのは私です。




