夕方に駆ける ①
サブタイが思いつかなかったから適当だぁ…
なんとかすっ飛ばして来たら一日で魔王の城付近の森の前についた。
馬のスタミナが切れたみたいなので今日はここで休憩することになるのだが……。先ほどからあのプレイヤーたちがこっそりついてきているのだ。
よく馬の本気のスピードについてこれたなっていう感心もあるがこっそりのぞき見とはいただけんなぁ。
「出てきなよ」
「うっ」
と、先ほどの四人のプレイヤーがおずおずと出てくる。
「なんで尾行なんかしてんの?」
「いやぁ、その、強さの秘訣をもっと知りたくなって……この眼で見たらわかるかなって」
そう説明してくれた。
たしかに見て盗めとはいうが……私のは多分真似できないぞ。それなりの運動神経じゃ多分無理だろうが……。
だがしかし、こいつら意外と素早いというのも事実だ。なにせ馬のスピードについてくるぐらいなんだからな。
「じゃ、戦ってみる?」
「えっ」
「見たいんでしょ? 戦おうよ。私一人とそっち四人で。人数差がちょっときついけど」
「でも……」
「馬のスタミナ回復をしなくちゃならないし急いでるわけじゃないからね」
私はメニューを開く。決闘モードってこうやるのか。
すると、決闘する相手を選べと言うので、相手チーム全員と指定。細かく指定できるんだな。自分が視認していれば決闘は申し込めるみたい。
相手の方にも決闘のメニューが開かれたようで受理されたようだった。
決闘を申し込んだ私のほうでルールを決めるということで1vs4のハンデ戦ということでそういう仕組みになった。
さて、どうすっかな。プレイヤー複数戦というのは久々な気がする。
「んじゃ、この審判さんの合図で始めるからな。両者まず離れよう」
「わ、わかりました! お手柔らかにお願いしますね!」
四人は私たちから離れていく。
『ミーミル様、準備はよろしいでしょうか?』
「いつでもいいよー」
相手のほうも確認が取れたみたいだった。
AIの無機質な声が私たちの脳裏に響く。
『では、戦闘開始!』
その声が響き渡った瞬間、相手側四人が一気に距離を詰めてくる。予想通りものすごくすばやい。だが、私の比ではないけれど。
私闇の二面性だけでもいいかもしれないが……。さすがにまだあのスキルは見せたくないしな誰にも。
「スキル、バインド!」
と、ロープが飛んでくる。
バインド。相手を拘束する魔法だ。当たらなければなんてことはない。私はとんで躱す。するとそのジャンプは読まれていたのだろう。
「不屈の一閃!」
大剣を持った男の子が大きく薙ぎ払う。
私はジキルタイガーのナイフを持ち相殺。並大抵のナイフなら打ち負けていたところだったな。私はジキルタイガーのナイフをしまい、狙いを定めることにした。
すると、今度は別方向から魔法が飛んでくる。
「ちっ」
私は素早く距離を取ることにした。
防御側に回るとわりとマジで私弱いんだよな……。攻める方が大得意なんだが。私は距離を取り、相手を視界に収める。
ここからどう勝つかというと、まずはあの補助技を使ってくる女の子をしとめるか。あいつが一番厄介だ。
私は狙いをすまし、そのまま距離を詰める。
「狙いはアイノでしょう! わかってますよ!」
と、防御するかのように立ちふさがるがそんな馬鹿正直にまっすぐ突き進むのは私じゃない。
「そぉらっと!」
私はナイフを投げる。
飛んでいったナイフはアイノという女の子ではなく、庇っていた男の方に突き刺さる。
「私って結構神獣化頼りの火力だから神獣化しないっていうのは大きなハンデだな……。させてもいいけどどうすっかなー」
「バインドっ!」
「あ、油断してたやっべ」
私は済んでのところでバインドを躱す。
そして、その次に魔法が飛んでくる。しょうがねえ。
私はジキルタイガーのナイフを魔法使いに向かって投げる。魔法使いは場所を移動し躱そうとするが私のスキルロックオンで必ず当たるようになっている。
「きゃあああああ!」
魔法使いはナイフが当たると同時にポリゴンとなって消える。
「まず一人っと」
「ムー!」
ムーという女の子らしい。
そして、私もその子が放った魔法にぶち当たって少し吹っ飛ばされる。すぐに体制を整え、残りの三人を見る。
あの近距離攻撃するあいつらが厄介だ。私も近距離型だからこそ遠距離に弱い。遠距離を潰すために守られたらそれこそ厄介なんだよな。
さて、どうするか……。




