Teach English!
水晶サンゴを依頼人に渡し、ゲームからログアウトした。
そして、私はというと下に降りていく。今の時刻は午後三時。昼のおやつの時間だ。いや、おやつっつーかアフタヌーンティー?
料理ができない私でも紅茶ぐらいは淹れられるもんね。
私がお湯をティーポットの中に淹れているとインターホンが鳴る。
「はいはーい、どちら様…と」
私は扉を開けると、そこには柊くんと木戸くん、そして灘たちがいた。四人は英語の教科書を片手に持っている。
「英語教えてもらいに来たの?」
「そうなんだよぉ。暇だしさー」
と、木戸くんがいう。
木戸 龍之介。バスケ部に入っているイケメンクラスメイト。誰にでも厳しい態度をとるが真面目な子だ。
「その、俺もいいのか? あまり話してないが…」
「いいよ」
私はそう言って四人を部屋にあげる。
私はキッチンに戻り紅茶を淹れなおした。人数分のティーカップを用意し、紅茶を淹れる。そして牛乳を入れてミルクティーにした。
私はお盆にミルクティーを乗せてもっていく。
「はい、ミルクティー」
「ありがとう」
「サンキュー」
「感謝する」
「あ、あんがと」
紅茶嫌いな人いるかな?
結構おいしい茶葉を使ってるから味は保証するが…。
「で、英語だっけ」
「そうそう。本当は私たち二人だけだったんだけどさっき二人にそこであってさ」
「さっき私もゲーム内で柊に会ったよ」
「あれはログアウト直前だったからね…。約束すっかり忘れててゲームしてたんだ」
「今度から忘れんなよ」
木戸君と約束していたらしい。
「で、英語ね。とりあえず英会話でもしてみる?」
「教科書はいらないのか?」
「言語を覚えるにはとりあえず会話だよ。私もそうして覚えたから。簡単でいいんだよ。挨拶をして、他愛もない話をするだけでも十分いい。私が話しているのを聞いてこういう風なんだなって思えばいいさ」
私がそう言うと四人は納得したようだ。
「じゃ、じゃあ俺からやる」
と、立ち上がる。
私は咳払いをした。
「は、ハロー」
「Hello」
私は英語で元気? などと尋ねるとそれぐらいはわかるのか元気と返してきた。
「Good English」
なかなかいい発音はしている。
私はとりあえず最近の学校のことについて聞いた。もちろん容赦なく発音はイギリスで使っていたような英語だ。
私が容赦なくやると聞き取れないのかはてなマークが浮かんでいるのが見える。
「あー、えっと…ナイスウェザー」
「なんで天気なんだよ…。最近の学校はどう?って聞いたんだよ」
「あ、そうなのか…」
「ま、気を取り直して…」
私はバスケットボールについて尋ねる。
バスケのルールは難しい? 教えてよと言うと深く考えるような仕草をした。
「バスケットボールって聞こえたからバスケのことだよな…。ティーチ、ということは教える…。バスケの事を? それかバスケのルールか?」
「Hurry up!」
「えっ、あ、えっと、バスケットボール イズ フェイマス スポーツ…」
「ルールのことを聞いたんだよ…。バスケのルールって難しいって」
「あー、ルールか。やっぱ英語ムズイな。リスニングは俺無理だ」
まあ流ちょうに話せる人ってそれほどいないしな。私だってたまに聞き取れないことがある。早口で言われたらわかんねーもん。
とりあえずYeahとか言っておけばいい。便利だよね。日本だってうんうん言っておけばなんとかなる。
「俺もういいわ…」
「そう? 次はいる?」
「うーん、文章でいいかな…」
「私も」
「私もだ。さすがに私も無理だ」
ええ、四人とも諦めるの早くない?




