鉱山の残骸
私の予感は当たっていたらしく、私が道を逸れた瞬間に何かが通ったような気がした。
さっさと広場にいって迎え撃とう。私はちょっと遠いがそのルートを通り進むと開けた場所に出る。ここなら戦えそうだ。
真ん中には目印なのか岩の出っ張りがあり、ぐるっと円を描くような感じの広場。
すると、私の背後に何か気配を感じた。私は前に出ると、なにかが地面を殴っていた。
「っと、早速お出ましかい」
私は振り向いた。
そこには、巨人がいた。私よりもちょっと大きい……3mくらいだろうか。
体が岩でできているのか、ごつごつとした体に目のように光る魔石。その魔石は私をしっかりと捉えており、そのデカい拳で私を押しつぶそうとしてきた。
ゴーレム。私は審美眼を使った。
「ゴーレムじゃねえのかこれ」
審美眼を使うとゴーレムではないようだった。
どちらかというとこれはアンデッド。ゴーレムゾンビというゴーレムだがゾンビという感じ。鑑定の説明をいうならば、これは坑道内で崩落事故に巻き込まれた男たちの無念が魔力鉱に憑りつき動かしているということ。
なるほど、確かに出そうな魔物と言えば死んだ男たちの無念だろうな。
「人の形をしてるのが羨ましいってか」
押しつぶされて死んだのか人としての原型はなくなっていたのだろう。
だから人の形をしたゴーレムになったが角ばっており人とは言えない。なので人がうらやましいといった感じだろうか。
「っと」
ゴーレムゾンビは今度は岩を思い切り投げつける。
私は躱し、近づいて思い切り岩をぶん殴った。岩は砕け、足ががくっともつれる。だがしかし、周りに散らばっていた岩を取り付け、また足が復活した。
なるほど、岩をくっつけ復活が可能、ね。
となると狙うのは核しかないわけだ。ゴーレムなら一応夢の世界で戦闘した経験があるが……あのゴーレムと同じなら核は同じところにあるのか?
「よーし、同じなら戦い方は理解した。このミーミルちゃんを襲ったことを後悔させてあげるからね」
私は気合を入れる。
ゴーレムは喋らないで、拳でパンチをしてきたのでとりあえず躱す。そして、近くにあった石を魔石めがけて投げつけるとゴーレムは片方の手で防御した。
あれか。あの目の奴が核か。
前に戦ったゴーレムは首筋だったが……ゴーレムによって違うのか?
「私の二倍の大きさだからな……。さて、どうアレを狙うか。小さい分ちょっと小回り利いてるのが厄介かもしれんなぁ」
体が小さい分手が思ったより俊敏に動いている。
何かを投げて壊そうもんならすぐに防御されるな。それに、私遠距離攻撃となると投げナイフくらいしかないしな。
しょうがない。じゃ、あのスキル使ってみっか。前にハイドからもらったあのスキル。
「まずは神獣化!」
私は全身を神獣化させる。
「そして威風蓋世:残夢を発動!」
私の体は光と闇に満ち溢れる。
ちょっと試しに走ってみるが本当に早い。割と一瞬で距離を詰められる。こんだけ早いと逆にやりづらかろうに。これは慣れが必要だな。
そして、威風蓋世の効果は幻覚を本物に一度だけできる、だったか。
「それじゃ、ちゃっちゃと攻略しちゃいましょうかね」
私はゴーレムに一瞬で距離を詰めた。
ゴーレムは私を殴ろうとしてきたので腕をはじく。
「ふふん。じゃ、腕が増えましたっと」
腕を増やすイメージを想い浮かべたら腕が見えてきたので、殴ると、なんか体の二か所に穴が開いた。
そして、幻覚の腕は消える。なるほど、こういうことか。
「ギギギギ……」
「初めて喋ったな」
ゴーレムは空いた穴を塞ごうと岩を取ろうとする。
私はその隙をつく。まずは魔石以外の体を全部粉々に粉砕してあげようか。私は連続でパンチを食らわせた。
「粉砕・玉砕、大喝采!ってか」
ゴーレムの体は粉々に砕け散る。
魔石だけとなったので、後はそれを砕くだけだ。私はゴーレムの頭を持ち上げ、そのまま上に放り投げて、落ちてきたところをアッパーで粉砕。
魔石は砕け、岩は動かなくなったのだった。
私はスキルを解いた。
「なるほど、これめっちゃ強いわ」
全ステータス3倍はやべえ。




