スフガトという神
ヴァルハラン様は一通りクロノス様を揶揄って満足したのか本題に入っていた。
ヴァルハラン様から聞いた神の現状を聞いて、真面目に考えるクロノス様。
「そうだね。一度、確かに見直したほうがいいかもしれないね。それに、人間界ではあのヒビのせいでこちらに堕ちてくるくるんだろう? 奴隷のように扱われるようになるとすると本当に私たちが動いたほうがいいかもね」
「ということで、私が来たんですよ~。クロノス、代わりに頼む」
「あなたも三神の一人なのだからこの問題から逃げられないよ」
そう話していた。
先ほどまで問い詰めていた男の神は二人を恐れており、何も言葉を発せずただただ黙っている。二人もようやく存在を思い出したのか、ヴァルハラン様が急にそちらを向き、にっこり笑う。
「ま、君の処分はおいおい、ね。君が光のヒビを発生させたのかな?」
「ち、違います! 私はただ手伝っていただけです!」
「じゃ、君に手伝わせた人は誰? つっても、空間のやつのほうの手下だろうけど」
「こんなことができるのはね。あいつも部下をきちんとまとめてほしいもんだよ」
二人は大体察しがついているらしい。
男の口からはスフガトという男からの命令だと言っていた。二人はやっぱりという顔をしており、犯人が大体察しがついているよう。
というか、空間のやつ? 空間を操る神もいるのか。三神の一人かな。時間、空間、運命を司る神を合わせて三神というのだろうか。
「それじゃ、問い詰めに行きますか。空間の奴はちょっと面倒だからな……」
「そうだね。さっさと済ませようか」
そういって、私たち二人を連れどこかにワープする。
ワープした先はどこかの屋敷の中だった。神たちは階段を登っていく。誰だ?と身構える天使らしき人もいるが、執事の人が止めていた。
そして、書斎らしき部屋の前に立つと、こんこんとクロノス様がノックをする。
「入っていい」
そう言われたので無言で扉を開ける。
二人が入った瞬間、誰か察したのだろうか、椅子に座っていた男が立ち上がる。そして、目の前に立つとすぐに傅いた。
「何のようでございましょうか」
「わかってるくせに。光のヒビの件だよ」
ヴァルハラン様が笑顔でそう伝えるが笑ってないように見える。
そう用件を聞いた際、少し固まっているようにも見えた。が、すぐにとりなしそれがどうかしたかと聞いていた。
随分と白々しい?うーん。悪い事だとか思ってないのかなー?
「あれは多少人間にわからせるつもりでいたのです。もちろん元の世界に帰す予定はありました」
「だとしてもだよ。それは、君の独断でやったでしょ? 私たち二人はもちろん許可しないし、ウラノスのやつはもっと厳しくなるよ」
「……」
「これは君はどう報告するつもりだったのかなぁ? あの世界の未来にかかわることについては私たち三神の誰か一人の許可が必要だってわかってて言ってるのかな?」
「もっとも、私たちより真面目で厳しいウラノスは許可しないだろうけどね」
そういうと、スフガトという男性は押し黙る。
「君たちは、私たちをなめているようだね。ここで今、殺してしまっても構わないんだよ?」
「……申し訳、ございませんでした」
「聞こえないな。そんなか細い声で謝られても私たちは聞こえないから許す許せないの問題じゃなくなるよ」
「申し訳、ございませんでした!」
と、頭を下げた。
「よーし、んじゃま、あとは光のヒビを消す作業なんだけどあれ、結構力いるし私たちの分野じゃないからウラノスの許可が必要かなぁ」
「……行きたくないなぁ」
「私も。今仕事さぼってきてるから絶対怒られる」
「……よかったぁ私は今仕事なくて」
「ずるくない!? あ、急に腹痛が。これも運命、後は頼んだ」
「腹痛が始まる時間前に戻してあげる。私って優しいな~」
クロノス様は逃がす気はないようだ。
そのまま、引きずるように連れていかれる。私たちもなんとなくあとをついていったのだった。




