似非勇者御一行
私って異性より同性にモテる気がする。
私はヴァルハラン様と一緒にモテなされているときにそう思っていた。私は出された料理に手を出してみる。
うん、あまじょっぱい味付けが何とも言えず美味い。ゲームとはいえ飯をまずくするのはダメだったんだろうなーと思いつつ私は料理をひたすら無心で食べ続けていた。
「どうでございましょうか」
「美味しいよ。魔族のご飯ってこんなもんなんだ。うん、随分と舌が肥えてるようだね。私よりいいもの食べてる気がするよー」
「そんな…ヴァルハラン様よりいいものなど!」
「いやぁ、まじまじ。最近、部下に作らせたお菓子くらいしか食べてないからさぁー」
「ものぐさですからね」
「力を発揮してないだけー!」
私は料理を完食する。
全体的に紫色の料理が多かったが美味かった。私は美味しい料理に舌鼓を打っていると、突然何者かが扉を勢いよく開けて中に入ってくる。
「魔王様、大変です! 勇者、と名乗る者が現れ魔族を虐殺しております!」
「なんだと!?」
と、魔族の一人がそういうと、魔王はすぐ行くと準備を始めていた。
勇者を名乗る者……ね。胡散臭い。
「ミーミルちゃん、手助けしてあげなくていいの?」
「ま、もてなしを受けた礼はしますけど……。ヴァルハラン様は?」
「私は見てるだけにするよ。神が人間界に強く干渉するのもダメなんだよねー」
「それは神界のルールですか……」
「いや、私が勝手に決めたルール」
……まあいいか。
「私は干渉していいんですか?」
「ま、いいんじゃない? あとから眷属ってなったし実質人間人間」
「適当すぎでしょ……」
「適当さがウリです。さ、みにいこー!」
と、なんか妙にノリノリな運命神様と一緒に私は魔王についていった。
魔王城付近の村。
村人は逃げまどっており、鎧を着た人が大剣を振り回し、魔族の子供の首根っこを掴み持ち上げ剣を突きつけていた。
「なにをしている」
「お、ボスの登場か」
と、魔族の子供をポイッと投げ、剣を構える男。
男はにやりと笑っている。
「なにをしている? 私の討伐依頼でも受けてきたのか? 素直に魔王城に来れば相手してやったのに」
「おっと、魔王サマかい。ここで出会えるたぁ運がいいね。ま、魔王だけの討伐じゃないんだよ。俺の目的は。女神に選ばれた勇者コリア、今行かん!」
と、剣を構えた後ろに三人の女性がいた。
RPGに出てきそうな魔法使い、僧侶、そして戦士。どうやら勇者ごっこに憧れてるらしく、四対一という構図が出来上がっていた。
隣にいたヴァルハラン様は思わずこぼす。
「選んだ覚えはないけどね」
と。
彼らは自称選ばれし勇者なのだろう。私はどっちの味方をするべきか?
「ちょーっとムカつくからミーミルちゃん。やっておしまい」
「あくまで他人任せなんですね……。ま、いいですけど……」
私は魔王の隣に立つ。
「んじゃ、このミーミルちゃんも相手してあげよっかなー。魔王様、助っ人に入りますよっと」
「眷属様にこんなこと……」
「生憎あの神の命令なんすわ」
「……感謝いたします」
魔王も剣を構える。
さて、似非勇者共と戦うとするかぁ!




