まともと検索したら一番上に来るのは?
始まりの街に舞い戻り、私はクロムと行動していた。
というのも、仕方ないから黄金の煌きのほうにいって仲間に入ったことを伝えたいらしい。クロムはにやりと悪い笑みを浮かべていた。
いつものクロムだ。
「頼もう」
と、黄金の煌きの扉を勢いよく開け、私たちは中に入っていく。
受付のほうに向かい、受付のNPCの女性に私たちは問いかけた。
「ギルドマスターはいるか? サブでもいいが」
「い、いらっしゃいますが……」
「今すぐ呼んでくれ」
というと。
私たちの肩をぽんと叩く男性が。
「どうした? うちのチームの奴がなにか粗相でも? ギルマスじゃなくて俺が対応してやるぜ」
「そんなわけじゃないですよ。ギルマスの友人ですから私ら」
「友人……なのか?」
「なんかぎりぎり友人って感じじゃないですか?」
「そうか」
そういうと、オルタナさん、デコイさんが気だるそうにやってきた。
私たちの登場に目を丸くしている。
「どうした?」
「なんか強敵?」
「いや、違う。報告しておくことがあってだな」
「「報告??」」
二人がはもる。
「たくさん勧誘してくれたのは有難いが私はアマノイワトのチームに入ったっていう報告だ」
「アマノイワト……? アマノイワトっていやぁ、最近掲示板でも有名になってるチームか? なんかそのチームメンバーの一人が頭おかしいとか」
クシナダのことか。あいつある意味頭おかしいもんな。
でもクシナダのおかげで有名になれてるんならありがたいもんかな。中二病って案外みられるものだね。こっちは恥ずかしくて見てられないけど。
「金髪の日本人の顔立ちじゃない美少女がやけに頭おかしい強さだと。なんか情報だと後ろに歯車みたいなのが…って嬢ちゃん後ろのそれ……」
「……」
頭おかしいのってもしかしなくても私ですか?
失礼だな! 私はマトモだよ! まともで検索したら私が一番上に出てくるくらいにはまとも! 失礼だな!
「そのアマノイワトだ。チームメンバーの一人のミーミルさんだねそれ。ミーミルさんは俺らでも割と勝てないから喧嘩吹っ掛けないことをお勧めするよ」
「いや、タイマンでも割と私もオルタナさんたちには負けますから」
「……割とってつけるのが流行ってるのか?」
「さぁ……。私も流行はわからん」
私もわからん。
「だが、まあいい。次は勝つ」
「受けて立ちます。なるべく戦いたくないですけど」
「俺も戦いたくはないがな。戦うしかなくなったら戦おう」
私たちは笑いあう。
黄金の煌きのチームの人はぽかんと私たちを見ていた。
「あの! 俺、ちょっと手合わせしてみたいっす!」
「話聞いてたか?」
「聞いてました! ただ、強い奴ほど燃えるって言うか、どこまで俺も戦えるか知りたいだけっす」
と、一人の男が手を上げた。
職業は武闘家……か? 武器らしい武器は携えていなく、丸坊主の男性が勝負をしたいというので、私はどうするか悩む…わけがないのだ。
「んじゃ、やるか」
「いいんすか!?」
「さすがにPKにならないように決闘システムのタイマン使うね」
決闘システム。
前々のイベントの際に使用されたもので調べたらタイマン用のもあるということ。私は表に出て白い手袋を投げる。決闘を申し込むためのかっこつけみたいなもの。
「拾え」
私はそう言って相手が拾い上げる。
これで決闘を受け入れられたということになる。私は決闘システムを申し込み、相手が引き受けた。さっきのはただのカッコつけです。
《決闘モードが受理されました。賭け物はありません》
といって、私たちは拳を構える。
「それじゃ、ミーミルさんの実力を見せてもらうっす!」
そういって、襲い掛かってきた。




