報告・連絡・相談
始業式が終わりルンルン気分で家に帰りログイン。
ログインするとまだ港町であり、そういえば今日帰る予定だったなと気づく。
「アニキス、なにそれ?」
「ん? ああ、もらった」
「そんな大量の魚を?」
「いや、もっと少なかったんだが」
と、アニキスは頭を掻く。
「その小魚もらってそれを釣り餌にしたらよ、もう入れ食い状態で大量に釣れちまって」
で、このありさまと。
魚がちらばっており、嗅覚設定をオンにしたままなので生臭く感じる。私はこの生臭さは割と好きなほうだが、嫌いな人は嫌いだろうな。
なんて思っていると二人もログインしたようだ。
「「くさっ!!」」
「すまねえ!」
二人もいきなり魚の生臭さに襲われたようだった。
「随分と大量の魚だね……。しかも生きてる」
「これだけの魚どうしたんだ?」
「もらったんだと。この量をもって街に帰るぞーって嫌だよね」
この魚の量はアイテム欄にもいれたくない。
私はどうしたものかと悩んだが、いいのがいた。そういえばテイムしたなと思い、私は魚をもって海のほうに行こうと提案する。
そして、私はある竜を召還したのだった。
「君臨せよ! オシリスの…じゃなくてリア!」
私はそう唱えるとリアが海中から顔を出す。
「ドラゴン……!」
「そんな身構えないでよねー、リア」
「ギャウ」
リアはミカボシの顔をなめる。
「え、え?」
「最近テイムしたんだよ。リア、これ食べて」
「ギャウ!」
と、リアの口の中に生魚を放り込む。リアは美味しそうにむしゃむしゃと食べていた。満足したのかぎゃうーと可愛く咆哮をあげると、港町の人たちがこちらに近づいてくる。
「か、海竜様だ」
「海竜様だー!」
と、ぞろぞろと集まってくる。
え、なに? リア人気だなおい。
「ねえ、海竜様って人気なの?」
「海の平和を守ってくれるドラゴン様だ。漁師はこの海竜様のおかげで安全に漁ができとる。海の怪物はドラゴンの前には現れねえかんな」
「毎年海竜様を崇める祭りを開くのよ」
ほえー。この街は海竜と人間が共存しているという感じなのか。
たしかにやばい海の魔物に襲われないというのは海に住む人間にとってはとてもありがたいことだろう。
だがしかし、ドラゴンの危険性を本当に理解してるのかも疑問ではあるが。
「ギャウ?」
リアはちょっと戸惑っているようだ。
「ねえ、アテナ。なにこれ…」
「本名言っちゃってますよ」
「な、なんでこんなのとも契約してんの……? 聞いてないんだけど」
「あ、ヴァイギングにだけしか言ってなかったか」
「ほう、れん、そうーーーーー!」
と、ミカボシがとびかかってきたので私はひょいっと躱す。
そして、リアの背中によじ登る。
「リア、発進! 逃げよう!」
「あ、こら、待てー!」
リアはわかったというように沖に進んでいく。
「ふぅ、ちょっとほとぼりが冷めるまで逃げとこ」
「そうはいかないのが世の常だ」
「げ、クシナダ」
鱗に掴まってクシナダがついてきていた。
「ミカボシは手荒な真似するからな。私はそんなことはしない。ただ一つ聞かせてもらおう」
「……なにかな?」
「リアの好物は何だ?」
と、真面目な表情で聞いてくる。
「いや、知らないけど…」
「なっ、飼い主たるもの知っておくべきだろう! いいなぁー! ドラゴンテイムしてるとかかっこよすぎだろー! 羨ましいなー!」
「まあ、ドラゴンが配下って言うのはそそられるね」
「だろう!? そのそそられることをミーミル貴様がしているのだ! 死で償え!」
「結局手荒な真似してるじゃねえか!」
私はとっかかってきたクシナダを組み伏せる。
「体術で私に敵うと思うなよ……」
「くそ、ドラゴンの上で戦わなければ勝ててたのに……」
と、悔しそうに嘆く。
私は小さくなった陸地を見て、ため息をつく。
「リア、戻ろうか。流石に一人だけは可哀想だ」
「ギャウ?」
ミカボシに説明するしかないようですね。めんどくせえ……。




