因縁はいつしか良縁に
その頃のミカボシ視点です。拉致されたミーミルちゃんは次からまた始まります。
時系列は拉致されているときです。
私は街を歩いていた。
「パンドラさん戻ってないってさ。どこいったんだろうね」
クシナダにそうつぶやき、拠点に戻ろうとしたのだった。
だがしかし、私の前になんだか人がたくさん現れていた。前みたいなミーミルを辞めさせたいがために私たちを……。
私は勇気を振り絞って何か用ですかと尋ねる。
「てめぇ、パンドラのチームの奴だな?」
「違いますけど」
私は否定してくるが、剣を突きつけてくる。
戦うしかないようだ。私は剣を取ろうとすると。
「ぐあっ!」
「クシナダッ!」
クシナダが、斬りつけられたのだった。
「動くんじゃねえよ。誰の許可もらって動いてんだ」
「…………ッ」
パンドラさんのチームじゃないのに。
勘違いで殺されてたまるかっての。でも、状況は圧倒的に不利。ミーミルに助けを求めたら来てくれるだろうか。いや、来てくれるだろう。助けてもらおうか。
でも、連絡できるような隙はない……。
「私の許可をあげたのよ」
と、声が聞こえてきた。
すると、剣を突きつけていた男が倒れる。現れた女性は次々と人を切り倒していった。だがしかし、私は感謝ができるような人ではないのが分かった。
「ふぅ。大丈夫かしら。知らないお嬢…あ」
「…………」
花井 瑞樹が立っていたのだった。
私たちの中に気まずい空気が流れる。
クシナダが気絶状態から治り、起き上がった。
「クソっ、災難な日だな……ったく。っと、助けてくれたや…花井か」
「ち、違うわ。私の現実での名前はハナーイよ」
「……」
「そうか。ハナーイさんか。助けてくれて感謝する」
「信じるの!?」
こいつ疑うこと知らないの!?
私はクシナダをぶっ叩きあいつが花井だよと伝える。でも、私は疑問がある。私たちを苛めていた花井が、なぜ私たちを助けたのだろう。
私たちが気にいらないのなら、見過ごしてた方が彼女にとっても快楽だったはずだ。
「……どうして私たちを助けたの」
「いや、襲われてるのがあなた方とは知らなかったのよ。でも……あなた方でも助けたわ」
「なんで? 私たちが気に食わないんでしょ?」
「違う!」
と、大声で否定してくる。
「その、前々から気に食わなかったってことはないの、よ……。その……」
「その?」
「好きだったの」
「は? 好き? なにが」
私たちは花井を睨む。
「三日月ちゃんが好きだったのよー!」
と、その叫びがこだました。
私が、好き?
「その、私って異性より同性のほうが好きなの……。レズビアンっていうのかしら。好きな子ほどいじめたくなるし、好きな子に近づく人は蹴落としても付き合いたい、じゃん? ね?」
「…………」
「その、でも、なんていうか……私も結構サディスティックで好きな子が哀しむような顔も見たかったって言うか……反省してます」
わけがわからん。
いきなりそういうの告げられて私の頭にハテナが浮かんでいた。要するにコイツは私のことがライクじゃなくてラブ的な意味で好きで、灘を苛めてたのは私に近づいていたからで、そして私を苛めるぞといったのは哀しむような顔が見たかったってこと?
う、うわー……。
「その、引くわ……」
「そうよね! こんなサディスティックなやつドン引きよね!」
「……私がいじめられてたのは三日月に近づいたからか。言っておくが私はライクのほうの好きだからな。ラブではないぞ」
「知ってるよ……。むしろ灘に友達以上の目で見られてたらちょっとやだよ……」
「ど、どういう意味だ!?」
いじめられてた理由を知って少しは満足した。
でも、それ以上にわかったのは案外平気だってことだ。
「理由はわかったよ……。その、私が好きだってことだったんでしょ?」
「ええ。その、ごめんなさい。謝りにいったときは門前払いされて言えなかった。ごめんなさい。許されるとは思ってないの。でも、謝りたかった。前にアテナちゃんに言う機会を設けてくれってお願いしたけど音沙汰なくて……」
「……アテナに頼んだのが悪いぞ。絶対忘れてる」
「たまーにあの子物忘れするからね」
アテナって大事なことたまに忘れてひどい目に合うからね……。
「ま、顔を上げろよ。私は気にしてない。お前に会っても案外怖くない。ゲームの中だからかもしれないがな」
「そうだね。案外平気かも。あと、ここじゃ私たちはアマツミカボシとクシナダヒメだからそっちで呼んでね」
「あ、え、ええ」
「花井さんの名前は?」
「えっと、フラワリング……」
「それ、花輪じゃないの?」
花井なのに。
「こっちのほうが可愛いと思って……」
「そうなんだ。じゃ、フレンド登録しようか」
「えっ」
と、私はフレンド申請を送った。
許したつもりはないが、ま、許そうかな。過去の事は水に流すとかそんな感じ。
フラワリングとフレンド交換をして、別れることになった。
ま、こんなとこで花井に会うなんて偶然も偶然だけど……変わっててよかったよ。
「お嬢ちゃん大丈夫か!?」
「こ、興奮しすぎただけよ大丈夫……」
後ろを振り向くとなんか店の棚に顔から突っ込んでいる花井がいた。




