王の謝罪
王国郊外の平原につき、私は駆け出していた。
「雪だぁぁああああ!」
私は走って駆けまわっていると、何か声が聞こえてくる。
その声が気になり、私たちはそっちの方向に向かって見ると、なにやらヴァイギングの姿が見えた。ヴァイギングは森の中で一人で何かしているようで……。
上半身裸になり、なにか木剣を振っている。
「クソっ……俺は……」
と、なにか悔しそうにしながらも剣の素振りをしていた。
そして、目標の回数が終わったのか、剣を置き、服を羽織り、地べたに座る。私はそれを見計らい、ヴァイギングに近づいていった。
ヴァイキングは汗をかいており、少し息を切らしている。
「よーっすヴァイギング」
「おう、てめえらか」
「なにしてたんですか?」
「なに、素振りだ。剣を振るもんとして、毎日振ってなきゃ腕が鈍っちまうからな」
服で汗をぬぐい、立ち上がった。
立ち上がった瞬間、馬車が通りかかったと思いきや、私たちの目の前で馬車が止まる。その馬車の紋章は王城で見た王の紋章だった。
私たちは思わずそちらに視線をやると、馬車から国王が下りてきたのだった。
「国王様!?」
「…………」
先ほどまで少し笑っていたヴァイギングの目が鋭くなった。
国王様はずかずかとこちらに歩いてくると、マントをそこら辺に捨て、そして、そのまま頭を下げたのだった。
「すまなかった。貴殿にした行為、私どもが間違っていた」
「……意外とすんなり謝るじゃねえか。そこまでして竜血祭を開きたいのか?」
「竜血祭は私どもの夢だ。私も、いつか自分が王になった際に開いてみたかったのだ。貴族の夢でもあり、私の夢でもある」
「そうかい。国王様に謝罪してもらっちゃ俺も拒否はできねえな。いいだろう、この滅竜のヴァイギング、国が指定するドラゴンを狩ってやる」
ヴァイギングはどうやら受けるようだった。
国王はほっとしたように胸をなでおろしていた。
「飛竜か? 地竜か? 海竜か? どんなもんがお望みだ?」
「……王国が飛ぶように栄えるように飛竜をお願いしたいのだが」
「あいや承った。明後日までには納品してやる。ドラゴンの死体を持ち帰る用の人員を用意しておけ」
そういうと、ヴァイギングは。
「アマツミカボシ、今回はてめえも一緒に来い」
「え、私!?」
「俺の弟子なんだろう? 竜と一度、戦わなくてはならんぞ」
そういわれるとミカボシはしょうがないなぁといって、私とクシナダに声をかけてくる。
「お前ひとりだけだ。ミーミルは既に竜と対峙して勝っている。クシナダヒメのほうは俺の弟子じゃねえしな」
「らしいです。じゃ、ばいばーい!」
「一人は寂しいよォ!?」
「私もついていっていいでしょうかヴァイギングさん」
「……ま、構わねえが自分の身は自分で守るこったな。俺はそういうのは得意じゃねえ」
と、クシナダはついていくようだ。
「じゃ、ミーミルも……」
「ミーミルはついてくるなよ? ミーミルに頼られたら意味がねえ」
と、すでにドラゴンを倒せる私はついていかないほうがいいらしい。
ここに来て別行動ですか。
「……ミーミル殿が取り残されたな」
「……悲し涙」
「ならば、私のところで竜血祭を開く手伝いをしてほしい。いいだろうか?」
「暇なんで……」
暇なんで受けますよ。




