黄金を売り払え
地下室へつながる階段を下りていく。
明かりというものはランプしかないので気を付けて進むしかない。
「薄暗くて不気味ィ……。幽霊でないよね……?」
「大丈夫だって。行くしかない」
私たちは進んでいくとまた扉がある。
ドアノブを掴んでみるが明かない。鍵がかかっているようだった。鍵穴があり、鍵を差し込めという感じのもの。
私は持ってきていた地下室の鍵を差し込むとぴったりはまり、鍵をひねる。
鍵が開いた音が聞こえ、ぎぃぃと扉を開ける。
「うおっ、これ全部黄金かぁ!?」
中にあったのはとてつもない量の黄金だった。
結構な年数置かれていたとは思えないほどの輝きがあり、どれを見ても錆一つもない。こんな量の黄金をあのスケアリーの父は隠し持っていたのか!
売ればどんだけ金になるんだろう……。
「すごいぞ。この量……。すぐに売ろう」
「そうだね。ずっとここに置いとくのもあれだし……」
私たちは黄金に目がくらんでいた。
すごいな。この量の黄金は。黄金郷はここにあったのか?って言うくらいに多い。
「不用心だぞお前ら」
と、背後から声が聞こえる。
ランプを向けるとスケアリーが立っていた。
「いくら自分の家とはいえ少しは警戒しろ。その量の黄金が眠ってる噂があるんだぜ。調べに来る輩もいるぞ」
「あ、ごめん。っていうかよくわかったねここ」
「昔、俺もこの屋敷を探検して偶然この地下室を見つけたからな。覚えている。この量の黄金は予想外だったがな」
すごいよなこの量は。
「王からの伝言だ。黄金は国が言い値で書いとると言ってる。元より、この量は質屋でも売り切れないだろうよ」
「そっか。出し切れないだろうね」
「それにしても、王はこの遺産を知ってたんでしょ? よく自分のものにしなかったね」
「これは俺に相続されるもんだからな……。あの王は俺の許可がなしじゃできんといっていた。律儀なやつだよ。あんな王もこんな時代じゃ珍しいかもしれないがな」
王の人柄はとてもよさそうだなぁ。
「ほら、さっさと黄金を持ち出せ。いくぞ」
「あ、はいはい」
私たちは黄金を急いでアイテム欄にしまい、そそくさと移動したのだった。
金額は全額で12億ギンとなった。
ものすごい大金で、これは拠点の資金として活用しようということでミカボシが管理することになった。
というのも、私じゃがさつだし、クシナダは変な風に使いそうだからということだった。
私がガサツなのは認めるがそれで任せてくれないなんてひどい!
「んじゃ、まずあっちの拠点に帰るかー。まだあっちでやることあるからねぇ」
そういって、私たちは馬車に乗り込んだのだった。
さて、帰ったらログアウトして……。と思ったのだがそうもいかないようだ。
馬車にしばらく乗っていると、急に馬車が止まり、私たちは慣性の法則のせいか前に投げ出される。
「どうしたんすか!」
「に、逃げるわい! 今すぐ! ドラゴンが……おるんじゃあ!」
と、外を見ると。
真っ白な鱗でこちらを睨みつけているドラゴンがいたのだった。嘘だろ……。こんな時に現れるか普通!
「……しょうがねえなぁ! ミカボシ、時間稼ぎするぞ」
「はいはい! やろうかぁ!」
「私は……?」
「金持って逃げて。今全財産渡すから」
と、ミカボシはクシナダに金を全部渡していた。
ったく、ドラゴンに絡まれるなんてついてない!




