遺産のありか
私たちは王と話し合っていた。
「てなわけでもらってもよろしいでしょうか。あの屋敷は安全になりましたので」
私がそう言うと、王は笑顔になった。
「そうかそうか。よかった。あの屋敷は元々前々の宰相の屋敷でな……。あの宰相は良い貴族っぽくてなぁ。豪華な屋敷で孤児を拾ってきては育てていたらしい。あの屋敷だけは手放そうとしなくてなぁ……」
「知ってたんですか?」
「なにをだ?」
「あの屋敷の主人が幽霊屋敷の主だってこと」
「まぁ、憶測はついていた」
たしかに王はそのことを知っててもおかしくないし考えたらわかる問題ではあっただろう。じゃあなぜ幽霊屋敷の調査なんて依頼を出したんだ?
王はにっこりと笑う。
「なぁに、あなた方に頼んだのはもとよりあなた方にあの屋敷をあげるためだ。あの屋敷を手放そうとしない頑固者を何とかできると思っていたからな」
「保険としてスケアリーを向かわせたと?」
「そう! いやぁ、思惑がこうも上手く行くととてもうれしい」
王は笑っていた。
してやられたということか。ま、いいさ。どちらにせよあの屋敷はもらえたことだしな。あそこを拠点としつつ今後は動くことになるだろうが……。
まだ問題は山積みだなぁ。
「あの屋敷は幽霊メイドたちが掃除していたから塵もないだろうよ! 好きなように使うがよい! スケアリーもあなた方にやるといったんだろう?」
「ああ。あの屋敷も遺産もくれてやる。ただし、黄金はすぐに売り払うことだな。俺の親父の隠し財産のうわさはほかの貴族も狙っている。幽霊屋敷が除霊されたと知るとすぐに調査に踏み入るだろうよ」
「そうですね。では、この辺で…」
「うむ。ではまたな」
といって、私たちは王城から出るとまずはあの屋敷に向かう。
屋敷に入るとまたシャンデリアがともるが幽霊がいるような気配はない。となるとこれって自動照明なのか? 人が入ったことを感知すると自動で点火するシステムみたいなものか。
なるほど、これは幽霊とかじゃなく、普通のシステムか。金をかけるところにはかけるという感じがするな。
「この屋敷……本当に私たちが使うの?」
「確かに広いな。これじゃ持てあますぞ」
「まあまあ、この屋敷の活用法は置いておいて。狙いはもちろんあれでしょ」
私はアイテム欄から鍵を取り出す。
引き出しの裏に鍵が確かについてあり、地下室の入り口を探ることにする。貴族たちは噂とかは結構聞いていそうなものだから今夜中に調べないといけないかもしれないな。
「地下室の入り口をまず探すか」
「私は書斎を探してくるぞ。地下室はアニメだと大抵そこだ」
「それじゃ私はエントランスを探すよ。奥のほういきたくないし」
「じゃ、私は端から端まで移動しながら探すか」
私たちは手分けして屋敷の探索を始めた。
廊下の端っこにつくとでかい部屋があった。
大きなテーブルがある。ここは食堂か……? その隣の部屋は厨房らしいので個々で食事をとっていると思うが……。
食堂にしてはあまりにも広すぎる。もしかしてここはパーティを開くための部屋か。
なるほど。古いが草食は見事なものであり、天井には豪華なシャンデリア、壁にも絵画が飾られており、どこか不気味さを感じさせながらも芸術に拘っていたんだろうということも理解できる。
「こんな高そうな壺……。落としたら罰あたりそうだなぁ」
私は壺を手に持った。その時だった。
カチッという音が聞こえてくる。
何かのスイッチが押された?これを動かしただけで?
「音はこの部屋の前……でもあそこはなにもなかったはず」
私はパーティルームを出る。
すると、何やら目の前に先ほどにはなかった階段が現れていた。壁が移動しておりエントランスから見えないような作りとなっている。
壁がエントランスに続く道を封じている? 見えなくさせるためか? そういえば、厨房とパーティルームには窓がない。完全に死角となるだろう。
なるほど、徹底した隠しぶりだ。
私は壺を戻してまた戻ると壁は元に戻っていた。
なるほど、この壺がスイッチ……。私はにやりと笑う。
「よし、二人を集めるか」
黄金は目前だ。




