アイリスも行きたい!
翌日訪れた貴族さんに了承したと告げると、王都に向かうことになった。
まずは王と謁見してほしいということで私たちは王城に入る。結構私は入ってる記憶があるので内装とかは見飽きた感じもするがこの二人はまだ二回目ということでまだきょろきょろしている。
「王、連れてまいりました」
「うむ。下がってよい」
と、親ばか国王が威厳をそのままに…というわけじゃなく、髭を小さい女の子に引っ張られながらこちらを見ていた。
私がじろーっと見ていると王は私から顔をそらす。
「こ、こら。髭を引っ張るんじゃありません」
「ひげー」
「あとで遊んでやるから……。あっちいってなさい……」
王もやっぱ娘には強く出られない。
「まず来てくれて感謝する。あなた方に頼みたいのはそこのナパール公の息子から聞いているはず。是非ともよろしく頼む」
「はい。幽霊屋敷をなんとしても……」
「ユーレイ!? アイもいくー!」
と、髭を引っ張っている王女様が行く行くと手を上げた。
「い、いけません王女様が!」
「いくのー! 幽霊見る!」
「ダメだって言ってるであろう!?」
「んもー! お姉ちゃーん!」
と、私の足にがっしりしがみつく王女様。
王女様は私から離れようとしない。どうしても行きたいみたいだが、たしかにアイリスを連れていくには相当リスクがある。
好奇心が旺盛っつーか。もっと落ち着きをね?
「アイリスちゃん。好奇心は猫をも殺すんだよ」
「それミーミルが言う?」
「綺麗なブーメランだな」
うるさい。
私はなんとかしてきてるからいいんですぅー。
「でも好奇心こそが人間を発展させたって学者さん言ってた!」
「学者の奴余計なことを……!」
「ユーレイ見に行きたい! だめぇ?」
と、目を潤めかせ王を見ている。
「……人を一人守りながら行くことは可能か?」
「敵に寄りますけどまさか」
「……連れていってほしいのだ」
「負けてどうするんですか!?」
この王娘の可愛さに負けたぞおい。
「絶対という保証はありませんよ? 王女様を守りきれず打ち首獄門というのは勘弁ですからね……。それでもよいのなら連れていきます」
「わかっている。だが、こんな目でお願いされたら……!」
「気を確かに持ってください王! あまりにも危険すぎます! ダンジョンを攻略した強者とはいえ王女様を警護するには人数が少なすぎます!」
側近の言うことが最もだ。
三人で守り切るのは少なすぎる。
「だがしかしなぁ、うーん。うーん……」
「お願いします側近さん! 肩たたきしてあげますから!」
「許可しましょう」
「側近もついに負けたぞ」
「なっ、ならパパ上にも肩たたきすれば許してやらんでも……」
「あの、私たちの苦労が増えるだけじゃないですか……」
「信じております。あなた方なら大丈夫と」
「信頼高すぎるだろ」
私たち三人ツッコミ役に回っていた。おかしい。私はどう考えてもボケ側のはずなのに。
「わかりましたよ……。じゃ、今日の夜早速見に行くんで……」
「アイも行っていいの!?」
「いいよ……。今日は見るだけだからね」
しょうがないので許可するだけにした。
幽霊屋敷ね……。そこにはどんな敵がいるのかな。




