仲が深まった、気がする?
私は洞窟内のカベにもたれかかる。
外は夜になり、雨が少し和らいだ感じだった。満腹度も半分まで減っており、そろそろ何か獲物を狩らないと間に合わないかもしれない。
と、小動物を狩りにいったクロムさんが戻ってくる。
「ダメだ。この大雨で巣に隠れてるな」
「やっぱそうですか…。じゃ、恐竜のお肉しかないですかね…」
あれ美味いからとっておこうと思ったんだけどな。
私はしょうがないので恐竜の肉を取り出し地面に置く。そして、あらかじめ拾っておいた薪を地面に並べ、火をつける。
すると、私の隣にクロムさんが座ってきた。
「……なぁ、ミーミルよ」
「ん、なんですか?」
「……その、なんだ。ありがとな。一緒に参加してくれて」
と、なんか改めて礼を言われた。
別にお礼を言われるほどでもない。私もできれば参加はしたかったし、二人が不参加ということでペアだって探していたのも事実だ。
だからクロムさんから言って来てくれたのは渡りに船だったっていうか……。
「前にも言った通り現実でもゲームでも知り合いとかは少なくてな。イベントに参加はできなかったんだ。ミーミルがオッケーしてくれなかったらな」
「こっちも参加はしたかったんで……。私もゲームじゃフレンド少ないし参加する人いなかったからこちらこそありがとうですよ」
「……そうか」
と、クロムさんは火のほうをむいた。
「その、なんだ。堅苦しい敬語はいい。たかが6年違うだけだろうからな」
「……クロムさんって今何歳ですか?」
「21だ」
「ホントに違うんですね…。私まだ15ですわ。今月の23日に16になりますけど」
……歳で思い出したがつい先日クシナダの誕生日だったな。お祝いとかなんもしてないな。忘れてた。
まあ、それはあとででもいいだろう。
「その、なんだ。クロムでいいし敬語は使わなくてもいい。と、トモダチ、だろ?」
「そうで…そうだね。クロム」
私はにっこりと笑う。
「……かっこいいな」
と。クロムが顔を赤く染めてそっぽ向いた。
「なんとなくだが君は異性よりも同性にモテる気がするな。女の私でも思わず惚れてしまいそうだ」
「……この前女の子に告白されました」
「……たぶんちっちだろう?」
「よくわかったね」
「あの子は女の子が好きだからな。……だがしかし、今はその気持ちもわかりそうだ」
といわれた。
私ってなんで同性にモテるんでしょ? 私でも不思議に思うことだ。文化祭と言い、ちっちちゃんと言い。私って同性人気超あるよな…。
生まれる性別間違えたかなー……。
「ま、この話は終わりだ。なんだか恥ずかしくなってきた」
「あはは。そうだね。それじゃ満腹度を…と。誰か来ますね」
私が肉を乗せようとした瞬間だった。
展開していた気配察知にプレイヤーがひっかかった。クロムは剣に手をかけ、私も何時でも戦えるように手を握る。
すると、足音が聞こえてきた。こつん、こつんと二つの足音。
「なんか燃えてる音が聞こえてる…。まさかプレイヤーがいる?」
「ならチャンスだな。逃げ場のない洞窟だ。刈り取ってやろうぜ」
と、洞窟内にその男女らしき人の会話が響く。
火で照らされた洞窟内ではちょっと明るいのでもう少し歩いてきてくれたら相手の顔が見れそうだ。
と、相手の顔が見えた瞬間、相手の足が止まった。
「く、クロムだ……」
「あっちの金髪少女……。どこかで」
「まずい、逃げるぞ」
と、相手は私たちに背を向け走り出す。
私は地面を蹴りすぐに相手に追い付くと首根っこを掴みそのまま地面に叩きつけた。
「逃げるなよ。やろうぜ」
「と、トッププレイヤーを相手どるわけねーだろ! 勝てるわけがないっての!」
と、男はそういうと何かを投げつけてくる。
私はそれをキャッチしてみてみるとなにか玉のようなものだった。見ていた瞬間、ぼふんとその玉が爆発した。
「けむり玉だ! 今のうちに!」
「ちっちっち。甘いなぁ」
私には見通しスキルがあるのだ。
けむり玉何ぞ無意味!
「そう簡単に逃がすかよォ!」
私はナイフを投げる。
ナイフは彼の心臓めがけて飛んでいく。そして、背中に突き刺さったのだった。
「なっ…」
「ユーキ!」
「まずい、逃げれねえ……」
当たり前だ。
せっかくのポイントをみすみす逃がすわけがない。
「ま、運がなかったな」
と、クロムがその男にとどめを刺した。
私は女性のほうに近づき、ごめんねと謝りながら、女性を殴る。これも運命だからごめんね…。女の子と男はポリゴンとなって消えていくのだった。




