快挙を成し遂げてやったぜ!
私は思わずジキルタイガーを見る。
ジキルタイガーは私に頬を摺り寄せてきた。
「私の下につくの?」
「ガル」
まるでテイムしろと言わんばかりに待っていた。
私はテイムすることを選択する。
「わかった。ジキルタイガー。強すぎるからたまにしか呼ばないと思うけど…それでもいい?」
「ガル」
仕方ないといわんばかりに頷いた。
すると、その時私の手の甲に光が差す。左手の手の甲にはなにやら紋章が刻まれていく。牙のようなものが現れた。
「何この紋章…」
「ガル」
「魔力を込めてみろということ?」
私は魔力を込めてみると、手の甲に光が宿った。
そして、ジキルタイガーの姿が目の前から消え、手の甲からジキルタイガーが出てくる。ジキルタイガーはこういうことと言わんばかりに私を見て座った。
なるほど。召還するための魔法陣みたいなものか!
「これからもよろしくな、ジキルタイガー」
「…ガル」
「なに?」
「ガルぅ!」
な、なんか欲しいのか?
《名前を付けてほしいそうです》
名前?
「名前が欲しいの?」
「ガル!」
名前、か。
ジキルタイガーはたぶん元ネタの名前はジキルとハイド。だからこそ闇の二面性というものがあるんだよな。二重人格ということだろうな…。
「じゃあハイドで」
「ガル!」
《名前がハイドに決定しました》
よし、神獣テイム完了! ついてる! 私はやっぱり幸運だなぁ!
すると、その時突然ミカボシからメッセージが届いた。内容はと言うと…。
『なんかチームランクが一気に上がってAランクになってるんだけど!?』
ときたので私はジキルタイガーをテイムしたと伝えた。
「ハイド。私は用事あるから行くね」
「ガル!」
私はミカボシのところに向かう。
拠点に向かうと二人が出迎えてくれた。
「なんか光ってる!?」
「進化もした。それはおいておいて」
「それも聞きたいが…まずはジキルタイガーだ。やったのか?」
「ああ。これが証拠」
私は左手を見せつける。
左手には牙のマークが書かれている。他のテイマーは知らないがこんな紋章が現れるらしい。神獣だけだろうか。
「他のテイマーって紋章とかあるの?」
「テイマーは専用の本があってな。普通は手の甲とかじゃなく紋章はその本に宿る。その本がなければテイムは本来できない…んだが、神獣は例外なのかもな」
「すごーい…。牙…。かっこいい…」
二人は私の手の甲に見入っていた。
それにしても神獣をテイムしただけでチームランクがめっちゃ上がるって何気にすごくない? 神獣様すげえ。
「これはプレイヤーの中でも快挙かもね。神獣初テイムは私たちだぁー! いえーい!」
「神獣はテイム不可能だと思われていたからな。テイマーたちはその情報を絶対欲しがるだろうし、テイマーギルドが放っておかないわけがない」
「テイマーギルド?」
「テイマーだけが集められたチームだよ。チーム人数が多いし、結構強いのテイムしてる人が多いチーム。この町に本拠を構えているトップチームだね。テイマーという職業はそこでなれるようにもしている」
ほう。
「基本的にはいい奴らばかりだな。寧ろ変人が多い」
変人の巣窟なんだなテイマーって。
「これから忙しくなるかもねー。一気に上がったから注目はされると思うよ。どんな手段を使ったのかも気になってくるだろうし」
「もしかしたら入れてくれと言われるかもしれないな。その時はどうするんだ?」
「入れないよ。アマノイワトは基本的に私たち三人だけ。知らない人をいれて気を使うのも嫌でしょ」
「それもそうだ」
ミカボシは入れるつもりがないようだ。
まあ、この三人で行動したいからね。他の人入れたら気を使いそうで確かに私も嫌かもしれないな。気を使うってのがあまり好きじゃないし。
「とりあえず…ミーミル! お疲れ!」
「ああ。ま、戦うのが好きな虎だったからな。戦ってしまえばなんともない」
「あれでも結構きついんだよー? 基本的にワンパンだからねー。素早いし…」
「私みたいにずば抜けて運動神経がいいと楽勝よ」
「そうだな。運動神経、すごくいいもんな…」
体育は基本得意です。
苦手なのは美術と音楽と科学です。




