ある日洞窟の中…
ラミエルは体力、MPともに満タンにはしてくれたのだが、疲れまでは取れてなかった。
オルタナさんたちを相手にして超疲れたというかなんというか…。一つ言えるのはもう相手したくないということだ。
神獣化を使えば少しは違ったかもしれないが…。
すると、ぽつり、と頭に水滴が当たった。
「雨、だ」
「ですね」
私はふぅと一息。
雨が降り始め、私たちはとりあえず雨宿りできる場所を探すことになった。ゲームだから風邪ひかないだろうとは思うけど…。
私たちは雨に濡れながら雨宿りできる場所を探す。森の中に戻り、平原からでも見えていた崖の方に行くと洞窟を発見したのだった。
「ラッキー。んじゃ、洞窟で雨宿りと行きましょう!」
と、意気揚々と中に入っていく。
その時だった。何かを踏む感覚があった。私は地面を見てみると、なにやら茶色い毛玉が…。なんだか猛獣の唸り声が聞こえてくる。
グルルルルと怒ってるような?
「…あっ」
「…やれやれ」
私は思わずその場から飛びのく。
そして、その動物は私たちに襲い掛かってきたのだった。洞窟からでて相手をしよう。こんな薄暗い洞窟じゃやりづらい。
私たちは外に出る。
「グルルルル…」
「ほんとでかいクマさんですね」
私が踏んづけた相手は体長3mはあるだろうか。でかいヒグマだった。
うわぁ、現実だったらこれ死んでる気がするが、ここはゲームだ。3mのクマさんなど相手にならないだろう。
魔物とかは存在しないとはいえ動物は存在するっつってたな。魔獣とかそんなんじゃなく純粋な動物か…。
「グルァァアアア!」
「顔面怖い!」
クマさんはそのデカい図体で突進してきた。
私もジキルタイガーに変身し突進する。
「おら、相撲しようや」
クマさんは私と取っ組み合いになる。
力は強いがジキルタイガーには遠く及ばない。楽勝だなこれは。私は熊さんを投げ飛ばす。クマさんは地面に倒れ、そして起き上がる。こちらをギロリとにらみつけまたさらに突進してきたのだった。
私は変身を解き、今度は生身で相手してやろうと駆けていく。
すると、クロムさんが私の隣を並走しクマさんに向かっていくのだった。
「時間かけすぎだ。体力を更に消耗するだけだ」
「あ、スイマセン」
私とクロムさんはクマさんを切り裂いた。クマさんの体から血が噴き出て、その場に倒れる。そしてピクリとも動かなくなったところを見るに死んだのだろう。
クロムさんは剣をしまい、私は腕の変身を解いた。
鑑定してみると熊の死体(血抜き済み)と書かれていた。血抜きは大事だからね。
でもこれ食べれるの? 熊肉とかは確かに食べれるだろうけどクセが強くて加工が大変だろうに。スパイスとかないから臭みも消せないんじゃないだろうか?
「…熊肉か」
「食べ物とはいえ食べたくないな。調理ができん」
「ですね。臭みが強いとかいいますからね」
だからスパイスで臭みを消す。
私は料理が全くできない。出来るのはインスタントラーメンに乗せる具材を炒めることで、得意料理は卵かけごはんというなんとも料理ができない人って言う感じなのだ。
料理ができないのに熊肉の調理の仕方とか知るかよ。
「…熊肉は諦めますか」
「だな」
私たちは洞窟の中に入っていった。
 




