休息を取らねば
プレイヤーたちとの戦闘も終わり、ゲーム内では夜になった。
時間の進みが早いらしいので現実ではまだ昼にも行ってないだろうが…。さすがに寝ないとMPとかがもたないだろう。
でも、この辺で休息を取るのも結構リスキーでもある。
「…さすがにMPが少なくなったな。先に休息をとってもいいだろうか」
「いいですよ。私が見張りをしてますから」
誰かが寝ずの番をするしかないだろうな。
その時には私はMPをあまり消費しないほうがいいだろう。安全なんてありえないだろうからな。こんなサバイバル。
むしろ、こういう時こそ刈り取るチャンスだと考える奴らも出てくるだろう。あらゆる状況を考えて動かねば…。
「緊急事態になったらメッセージを送ってくれ。対応できる範囲なら対応してくれると助かる」
「任せてください」
私たちはとりあえず見晴らしのいい平原の石陰に身を潜め、クロムさんが目を閉じる。
私は石影から身を出し、辺りを警戒する。プレイヤーを見逃しちゃいけないだろうしな…。プレイヤーも消耗してる人は多いだろうから襲ってくるやつはそれほどいないとは思うけどな。
だがしかし、油断はしない。
近づいてくるのが見えてるとは限らないので一応気配察知も使っておく。この気配察知、消費MPはゼロなので乱発可能。
さて、どこからでもかかってこんかい。
と、辺りを睨んでいると遠くにプレイヤーの姿が見える。女性二人組。こちらには気づいてないようだが、あの二人もどこか休憩できる場所を探しているっぽいな。
こちらから仕掛けたいが少々距離が遠い。この場所にクロムさんを放置することになるしそれは愚策だろう。
「あっちから近づいてくるのを待つしかないか…」
しょうがない。
少しの時間とは言え離れるわけにもいかないからな。油断は命取りとなる。イベントで生き抜くにおいて油断は禁物だろう。
油断、焦燥。すべて危険だ。冷静にいかないとな…。
と、その時何かが気配探知に引っかかった。
私はクロムさんに近づく気配があり、そちらを見るが誰もいない。私はなんとなく空をぶん殴ってみると何かに当たる感覚があった。
すると、突然目の前に人が現れる。
「なんだよ…透明になってたはずなのに!」
「ばーか。甘いんだよ」
私は近づいてきた一人のプレイヤーを殺す。
となるともう一人のプレイヤーがどこかにいるはずだ。気配察知には範囲外なのか探知できない。ここは一つ…。
私は適当な方向めがけてナイフを投げる。
「ぐあっ!」
「当たりィ! ありがとう運の女神様!」
私の運頼みで適当にナイフを投げたら当たった。
見た感じ魔法職だ。遠距離だからこそ気配察知には引っかからないのか。気配察知の範囲は10mだからな。10mより外でやられると困る。
ただ透明化か。他の奴らが持ってると厄介だが…。
「おい、まず答えてもらおうか。透明化はお前らしかもってないのか?」
と、ナイフが突き刺さって瀕死の男の胸倉をつかむ。
「は、はい…。イベントの特別なスキルで配布はされてないはずです…」
「よーし。それだけ聞けたら満足。じゃ、バイバイ」
私はナイフを胸に突き刺す。
私自身、MPを使わないでもそこそこ強いんです。ノースキルで戦えたりはするので休息はそんなにいらないが…。オルタナさんたちが来たら厄介だからな。
「ん」
と、今気づいたが先ほどの男性を倒したら2ポイントじゃなく、なぜか10ポイントをもらっていた。
もしかして相手が持ってるポイントが反映されるのか? 相手は既に四組殺していて、あいつらと合わせて10ポイントって感じか?
そう考えるとちょっと楽だな。最後の最後で総取りを企んでもいいかもな。
「ま、このことはあとで相談してみるか。今は警戒しないと」
私はクロムさんの前に立ち再び警戒を始める。
 




