蝕む霧
残りは剣などの近接武器を携えたやつらとなった。
みんなクロムさんのほうを向いているがなにやら霧が出始めている。クロムさんを中心に半径10mに薄いもやがかかり、私たちを囲んでいた。
そのモヤの中にいる人はポーションをがぶ飲みしたりとかしているが…。
「これ、私が入っても大丈夫かね?」
この霧、何かがおかしい。
多分スキルだろう。一人だけ平然としているクロムさんを見るにクロムさんのスキルだと思うが…。まあいいさ。ダメージを受けるなら受ける覚悟がある。
私は霧の中に入っていく。
「ガルゥ!」
「な、なんだ!?」
他の人は霧のせいで私の姿がよく見えていないらしい。
すると、目の前のプレイヤーがあらぬ方向に向かって攻撃をし始めた。
「くそ、また偽物か!」
「偽物?」
偽物なんてどこにもいないぞ。
そう思いつつ一人を倒す。自分のステータスを確認するとダメージはうけていない。見通しスキルがあるからこそ霧がきいてないけどもしかするとそのスキルを渡した理由はこれか。
クロムさんは私のほうを向くとうなずいた。殲滅するぞという合図だ。
「怖え…。これ私がやられてたらどうしようもないかもしれないな…。いや、できるっちゃできるか」
私には気配察知スキルがある。
多分それを頼りにすれば攻撃は可能だろう。
「とりあえずあとで話を聞こう」
プレイヤーたちを殲滅し、今現在のポイントは50ポイント。どうやら一組2ポイントで加算されるらしい。
標準ポイントがそうで、もしかするとその人が持ってるポイントも加算される可能性もあるが…。結構ルールがあやふやな気がするが…。
まあ、そんなことはどうでもいいので落ち着いた今クロムさんにあのスキルの事を尋ねてみる。
「クロムさん、あれなんだったんですか? あの霧」
「私のスキル」
クロムさんはあのスキルの説明をし始めた。
「スキル名はミストインピースっていって、あの霧を吸うとダメージを食らい続けてやがて死ぬんだ」
「…なるほど。やっぱダメージうけるんだ」
「そして、同時に発動していたのはミストイリュージョン。幻影を見せるスキル。それで私の幻影をみせて攻撃させていた」
「うへぇ、なかなか嫌なスキル…」
「もちろん幻影にダメージはないよ。ダメージ与えもできないし」
それでも食らいたくはないな…。
「弱点はミーミルに渡したスキルを使われること。霧の中が見えるようになればイリュージョンは効かないからね」
「霧は効くんですか?」
「霧はそもそも仲間ならダメージを受けない」
なるほど、フレンドリーファイヤーはできないか。
でも広範囲にわたって定数ダメージを与えるのって相当厄介だな。敵に回したくはない。早期決着を余儀なくされるからな…。
スキルの凶悪さも相まってこそのプレイヤーランキング1位なのだろう。怖え…。
「まあ、私のめぼしいスキルはこんなんかな。これはすぐ対策されるだろうし今のうちだろうけど。真にやばいスキルは多分ミーミルが持ってるよ」
「私が?」
「神獣化は対策のしようがない。あれは私にとっても非常にまずい」
なるほど。
ステータスも変化するからな…。
「あと、ミーミルが近づいた瞬間素早さが落ちていたけどどういうスキルを使ったの?」
「あー、それは私の引力ってスキルですね。常時発動で素早さにデバフをかけるって言う…」
「なるほど。それが…」
「私自身素早さは結構高いし相手も遅くなるとなると結構相手は対応しきれませんよ」
「…厄介だ。それに、まだ隠しているスキルがあると見た。私はそれが見たい」
あー、他のスキル?
私スキル自体そんなないからな。流星武闘、闇の二面性、引力、見通し、神獣化、黒い稲妻…。他にあったかしら。
…いや、思い出した。つい先日手に入れたばかりのスキルが。あれはフレンドリーファイヤーするからなぁ。普通に。乱戦時にクロムさんに当てたら怖いな…。
「…ま、次の戦闘で見せますよ」
「楽しみにしてる」
あの夢見の波動…。味方に当てたら笑えない。




