幸運の女神は私についている
いつまでもイライラしてちゃしょうがないので私はとりあえずジキルタイガーの元に向かった。ジキルタイガーは湖畔でぐっすり眠っている。こいつ戦う、眠るしかしないのだろうか。
二人は入ってこれないので仕方ないが…。
「…おー、もふもふ」
ジキルタイガーのお腹に頭を置くとすごいモフモフしていた。
ジキルタイガーはこちらをみてまた寝始める。私は起き上がり、聖域の中を見て回ることにした。つっても範囲はこの泉の周りしかないし泉以外は木なのでこの泉を見よう。
大抵泉の底とかには宝箱があったりとかしてレアなアイテムが…。
私がのぞき込んでいると後ろから押されたような気がした。私は振り向くとジキルタイガーが尻尾で私を押したらしい。
「ちょ、何で押したし…」
私は泉に落ちたのだった。泉に落ち、目を開ける。透き通るような透明さでこの泉、ちょっと深い。泉の底まで見えるくらいには見通せる。
《妖精の泉に落ちてしまいました》
《種族の新たなる先へ、種族が進化します》
といって、私の体が光り始めた。
…えっ。
《精竜人の種族となりました》
といわれた。
進化? なにそれ。私は精竜人の説明を見てみる。説明を読むと…。妖精を導く力と竜人の力が合わさった種族。妖精の力が加わり、力と素早さの補正がさらにアップ。常に淡い光が包み込む。
という。
竜人より種族補正があるらしく、ステータスも多少上がっていた。
「泉にこんな効果が…。種族進化ってなんだそれ。進化すんのかよ…。人類は何億年もかけてようやく今の形に進化したんだぞ。こんな一瞬で進化なんて人間を馬鹿にしてんのか…」
悪態をつきながら這い上がる。
ジキルタイガーはいたずらが成功したような笑いを浮かべていた。成功したのがうれしいのかちょっと上機嫌。
私は構える。
「オラァ! よくも突き落としてくれたなぁ! 喧嘩しようぜェ! ちょうどイライラもしてるし八つ当たりもしてやるよ!」
「ガルゥ!」
受けてたとうと言わんばかりに立ち上がった。
私は闇の二面性を発動する。そして、距離を詰めた。おお、すごい。進化する前より少しスピードが上がってるような気がするぞ!
ジキルタイガーも驚いていた。だがすぐに身を引き、距離をとってくる。私はまた地面を蹴り、懐に潜り込む。
私ってつくづく運がいいな。進化するしよォ…。めっちゃくちゃ幸運だ。幸運の女神様が私を見守っているのかもしれないな。
この調子でジキルタイガーもテイムしてやる!
すると、ジキルタイガーも闇の二面性を発動していた。
ジキルタイガーが黒く染まっていく。私は素早く振り下ろしてくるジキルタイガーの腕をパンチで相殺。ジキルタイガーも意外だったのか腕をひっこめる。
「まだまだ続くよタイガーちゃん」
「ガルゥ!」
ジキルタイガーの体力が底知れない。
結構攻撃をぶちかましたつもりだが、ジキルタイガーは未だにぴんぴんしていた。私はと言うと魔力が尽きたのとスタミナが尽きた。
「ジキルタイガー…もうやめ…マジ無理…」
「ガルゥ…」
「そんな悲しい声出すな…。もう体力の限界…」
この私の戦法は私自身もスピードに対する処理が追い付かないことだ。
考えてる暇がないということ。ほとんど一瞬なので決めてから行動しないと考える余地がないということかな。
「ガル…」
納得はいったのかジキルタイガーはしぶしぶ闇の二面性を解き、私のところに近づいてくる。
すると、アナウンスが聞こえてくる。
《ジキルタイガーの好感度が最高になりました。テイムしますか?》
うおっ、まじで?
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