肉がうまい
とりあえず私たちは森を出ることにした。
プレイヤーはまだ見かけていない。いや、背後に一組ついてきてるのは感じてるが攻撃してくる様子もなさそうなので放置している。
私たちは森を抜け平原にやってきた。
「ま、ポイントがあっちからやってきましたね」
「そうだな」
背後から小さい足音が聞こえてくる。
こちらに向かっている様子だった。私は振り向き、ナイフを投げる。ナイフはそのプレイヤーの急所に当たった。
心臓に突き刺さり、クリティカル攻撃だったので怯んだ。
「まずは一ポイント!」
私は腕をジキルタイガーの腕に変え切り裂く。
クロムさんももう一人の方を剣で斬る。相手の体力もまだ残ってはいるが攻撃させないぞ。相手も攻撃する相手をミスったと思ったのか顔をゆがめどうにか逃げれないかと画策しているようだ。
もちろんそんなこと許すはずもない。
「とどめぇ!」
「お前にもな」
クロムさんがもう一人の方のプレイヤーの心臓に剣を突き刺した。
私は首根っこを掴み持ち上げ心臓に腕を突き刺す。二人は塵となって消えていく。私は変身を解き、ナイフを回収する。
「幸先いいですね」
「オルタナと出会わないことがまず幸運だろう」
オルタナさんとは戦ったことがないから実力はわからないが…。相当な防御力があるだろう。私も戦いたくないなぁ。
そう思いながらも平原を歩く。
「そういえば今回も特別イベントあるんですかね?」
「あると思うが魔物も人もいないと言っていたからな。どういうイベントかは想像つかん」
「ですね…。前回は魔物がイベントを起こしましたからね」
そういいながら歩いていると、私たちの前に男たちが立ちふさがる。
「…やるか」
「そうですね」
私たちは戦闘態勢を取る。
男たちはにやりと笑う。本を取り出したかと思うとモンスターを召還したのだった。それは見た目がティラノサウルスの魔物。
私はとりあえずハイドを召還した。が、無理そうです。今回もハイド出禁くらってますね。
「ま、私一人でも問題ないかな。クロムさん、二人を頼みました」
「魔物相手は任せるよ」
そういうと、私は全身を神獣化させる。
大きく飛び上がり大きな爪でティラノをぶっ叩くと地面に頭をつく。私はまたティラノに飛びつき、爪で首を切り裂いた。
ティラノはもだえ苦しむ。そして、そのまま動かなくなったのだった。
「なっ…! トップに対抗するために高ランクの魔物を捕まえたのに!」
「詰めが甘い。なめすぎだ」
クロムさんは的確に急所を狙い攻撃した。
心臓を突き刺され、一人はそのまま塵と化して消えていく。テイマーは防御力がそんなにないからな。良くも悪くも魔物頼りな面がある。
私は神獣化を解き、その場に座る。
「お前らも私たちの糧となるがいい」
クロムさんは剣を振り下ろし、相手が塵と化して消える。
死んだ魔物だけが取り残されていた。
「…食えるのかな?」
「切り分けてみよう」
首の傷から血抜きができてそうなのでとりあえず私たちは切り分けてみた。
すごい脂でものすごく美味しそうには見える。恐竜って爬虫類に分類されるのだろうか? 卵で生まれるイメージだから爬虫類だとは思うが…。
爬虫類を食べるなんて初めてな気がする。蛇は食べたことないからな…。
「食べれるだろう。少しもらうとするか」
「ですね」
私たちは平原の真ん中に火をつけ肉を焼いてみる。
漫画で見たような骨付き肉。ゲームとはいえこれをマジで食べる日が来るとは。骨太な骨付き肉をじっくりと焼く。
そういえばあの魔物、死体は残るんだな? 普通なら塵と化して消えるとかするのに。
もしかすると食べられるから残るのだろうか?
「焼けたかな」
そうこう考えていると肉の表面が若干焦げ付いてきた。
私は火から引き揚げ、とりあえずかぶりつく。
「おお、これは美味いな」
「塩コショウとかふらなくても味ついてる感じだな。脂が甘くておいしい…」
「これはあいつらに感謝だな。わざわざ食料をもってきてくれるとは」
「ほんとありがたいですねー」
食料をもってきてくれてありがとうございます。




