灘への罰ゲーム
とりあえず晩御飯の用意をするということでミカボシがログアウトしたので私もついでにログアウトした。
ヘッドギアを外すと、何やら怒ってる三日月の姿が。
「…灘、何か言い残すことは?」
「…いい人生だった」
と、なぜか怒っている。
ログアウトした私に気づき、三日月は突然手鏡を見せてきた。すると、私のおでこに”肉”という文字が書かれている。
……。
「灘よ、何か言い残すことは?」
「ちょ、アテナだけはダメ…。力強いんだから…」
「そうか」
私は机に置いてあった水性ペンを手に取る。
灘の前髪をあげ、私は水性ペンで灘のおでこに落書きすることにした。なんて書こうかなー。とりあえず英語で私は痴女ですと書いておこう。
灘は抵抗しなかった。
「くそう、こんな肌白い私に落書きするなんてよぅ…」
「最初にしたのはあんただろうが!」
「それに灘ちゃーん。まだ私の分が残ってるからねー」
と、三日月がなぜか灘の前髪をヘアピンで留める。おでこが丸見えの状態だった。ちゃんと日本語訳も書いてあるのでこれ人に見られたら恥ずかしいどころじゃないぞ。
隣の三日月を見るとにっこりとほほ笑んだ。
「よし、灘ちゃん。私アイスが食べたいな」
「…買ってくればいいだろう」
「買って来て?」
「断る」
「拒否権はないよ」
と、三日月が灘を睨むと灘は勢いよく立ち上がる。
「い、いってまいるであります!」
「よし。途中で洗い流したり髪留めを外したりしたら罰金だから。もちろん髪留めを外したかはわかるからそのつもりで」
「は、はい!」
と、灘は部屋の扉を勢いよくあけ一階に降りていく。
いってきますと大きな声で告げコンビニに走って向かうようだった。
「あの落書きを大衆の目に見せるのかよ…。そこまでしたくないぞ私」
「こうでもしないと反省しないから」
「怖え…」
「とりあえず落書きおとそっか」
というので私たちは洗面所に向かう。
私は蛇口をひねり水を出すとそのままじゃばじゃばと顔を洗う。若干黒いインクは残ってるが大体は落ちた。
が、私の肌白いから少しの黒さでも目立つなぁ…。
「ごしごし擦るのもダメだからなぁー。くそー…」
「水性ペンでも落ちないもんは落ちないからねー…」
そう話していると、玄関の方からただいまーという声が聞こえてくる。
帰ってきたのはきっと灘だろう。私はおかえりーというと、灘が涙目でアイスを三つ手に持っていた。
「買って…きたで…ありますぅ」
「うむ。許してやろう」
灘はもう本当に泣きそうな目だ。言っちゃなんだけど私じゃなくてよかったぁ。
「なんできちんと和訳まで書くんだよォ…。意味もばっちり理解されたじゃないかよぉ…。もうあのコンビニ使えねえよォ…」
「落書きにしちゃ罰は重かった感あるけど私が言えることは…どんまい! 新米!」
「こんな時にダジャレはやめろぉ! 私の心は深く傷ついてるんだっ…!」
とぼとぼと洗面所に向かう灘。
あれは私でも結構心に来る罰だなぁ。三日月って気づいてないところあるけど案外あいつもサディスティックだからなぁ…。
「んじゃ、とりあえずアイスいっただっきまーす。私ハイパーカップ」
「じゃ、私モナカでいいや」
私はレジ袋からアイスを取り出し、ソファに座る。
三日月は携帯をいじりだしていた。
「ねぇ、見て! そろそろイベントをやるらしいよ!」
「イベントォ? ついこの間やったばかりじゃない? メイクアップレース」
「今度はサバイバルゲームだって」
「サバゲー? 銃をもって敵を撃つの?」
「違う違う。一週間二人で生き抜くんだって。PKありで死んだらイベント即リタイアらしいよ。アテナでるの?」
「うーん。どっちでも」
「私は今回はパスする予定。さすがにこういうデスゲームみたいなのは私嫌だし…」
「んじゃ、灘もパスするんじゃないか? あいつ戦闘系の職業じゃないから生き残れないだろ」
「そうだね」
じゃ、私は参加してやるか…。つっても二人でっていってたから二人一組でって言う話になるけどペア組む人いるかな?
 




