聖域らしい
翌日、私はログインし、二人に昨日のことを話し、そこに連れていった。
「この森の奥にあるの?」
「結構深く行くんだな」
その時だった。
私は何気なく歩いていたのだが、二人はなにやら壁にぶつかったような音を出していた。ごつんと低い音が聞こえてくる。
「こ、これ以上進めないよぉ」
「見えない壁があるみたいだ…。なんだこれは?」
「私は普通に入れてるけど?」
私はなぜ入れたのだろう。
神獣にそんな詳しくないしここがどこなのかもわからない。何が違うんだろうか。認められてなかったらダメ…ということなのか?
私は二人のところに行く。また後ろを振り向いて手を伸ばすも私は壁に触れる気配はなかった。
「ミーミルだけがいけるのね…」
「ふむ、たしかにな。となると、ここは神獣に許可されし者以外は入れないのかもしれん。認められてない私たちは入れないのはそういうことだろう。プレイヤーの中でもこの奥にはいけないということがささやかれているしな」
なるほど。
神獣に認められし者…。つまり私だけがいけるというわけか。
「テイムはできたの?」
「いや、出来てはない」
「そう」
私たちは一度拠点に戻ることにした。
拠点に戻り、私たちは始まりの街にある図書館に移動する。
魔物の情報などが書かれた本もあれば神獣についてまとめられた本もあり、プレイヤーは情報を得るためにここを利用しているらしい。
私たちは神獣の本を手にする。
『神獣について』
と、いう本だ。
私は表紙をめくる。目次が書かれているが神獣個別の情報じゃなくて神獣とは何かとか書かれている。
私はとりあえず読み進めた。
すると、関連した情報があった。
『この世界には見えない壁で覆われた場所が七つある。そこは神獣の住処とされており、我々は聖域と呼んでいる…。
立ち入れたものはいないが、神獣だけが入れるもののようだ。もし入れるとするならば神獣に許可されたものしか入ることが不可能だと推測される』
正解だな。
私は許可されているから入れたんだ。一方二人は許可されていない。なるほど。許可されたということは信頼されているということでいいだろうな。
となると好感度もすごく高そうだ。
「許可されるくらいに信頼されてるとなるとテイムできるようになるのもそろそろかもね」
「そうだな…」
私たちが話していると三人の男がやってきた。
「君たちぃー、何読んでんの?」
「テイムの事ならテイマーである俺たちが教えてあげるよ」
と。
私は本を閉じ机の下に隠す。
「まさか神獣をテイムしようとしてんの? 無謀なことするなー」
「無駄なのにねぇ。トッププレイヤーのテイマーですら無理だってあきらめたのにさー」
「無駄な努力はやめて俺たちのおすすめのモンスターをテイムしようよ?」
と、煽ってくるが私たちは無視を貫く。
この手の輩に絡むのは時間の無駄だ。
「いいでしょ?」
と、男が私の手を握ってくる。
私は思わず手を払いのけた。気色悪いな。こういうヤツ私は大嫌いなんだよ。
「ミカボシ、クシナダ。いくよ」
「ほうっておいていいのか?」
「いいよ。構ってあげたら余計絡んでくるから」
こういうのは基本無視が一番いい。
「何気取ってんだよ…。外人風情が…」
「あ?」
私は思わず振り向いた。
なに? 差別すんの? お前らに差別する権利あるの?
「ミーミル、ほら…」
「…気分悪い」
私はそう言い残して図書館を去った。
あー、ムカつくなぁー! 差別したりされたりするのが父さんたちと同じくらいムカつくんだよなぁー!
ほんとイライラする…。




