降り注ぐ厄災
いいお湯…だった。
そして外を見ると雨は霧雨になっており、多分帰れるぐらいには雨が静かになっていた。私はチャリを見る。
風で転倒してちょっと変形してるとはいえ…。まだ使えるだろ。これ一応買ったばかりなのにな…。前のチャリパクられたから新しいの買ったんだけど…。
「風呂ありがとさん。雨も静かになったし帰るわ」
「あっ、はい! あ、これ着てた服です!」
「ありがとさん。この着てる服は木戸くんに持たせて…」
「持ってきてください」
「あ、うん…。木戸くんに触らせたくないの?」
「あー、なんていうか、兄も男じゃないですか…。その、下着とかは兄に見られたくないなって」
なるほど、思いやりにかけてました。
「わかったよ。洗濯したら返しにくるね」
私はリュックを背負いチャリのかごに着替えが入ったレジ袋をいれ、そのままペダルをこぐ。
くっ、せっかくの休みの日なのにゲームが午後からとか休みの意味ねえよ…。このまま家にいくと昼過ぎるだろうしな…。てかもう昼だしな…。
帰ってきたのは午後1時。
チャリをしまい、霧雨でぬれた髪とかをドライヤーで乾かして着替えて洗濯機につっこみ洗剤を入れて回す。
ぴっという機械音がなり、私は二階へと上がっていった。
二階の私の部屋を開けた瞬間。
真っ白い閃光が部屋の中を包み込む。そして、数秒後にひどい轟音が聞こえてきたのだった。
あまりの勢いと突然さに思わず腰が引けてしまい、壁によりかかる。心臓がちょっとバクバクいってて滅茶苦茶ビビった…。
「雷かよ…。たしかにそばやで飯食ってるときちょっと強くなってきてたからな…」
ま、自分の家に戻ってきたしいいかと思い、機械に寝そべり電源を入れる…。が、電源ボタンが光らず、目を閉じてもダイブすることはなかった。
私は思わず起き上がり、電源ボタンをもう一度押してみる。つかない。
「…あれ、もしかして」
私はじぶんの部屋にあるテレビをつけようとリモコンを手に取る。が、テレビもつかない。
「停電してるじゃねえか! なんだよこの不幸の連続技は! 恨みか! 私を恨んでるのか天の女神よ!」
だけど…故障してないっていうのはまだましかもしれないな…。
停電ぐらいで済んだのがラッキーと考えるべきか…。それでもゲームお預けかよ…。幸運のあとって不運が来るんだよな。ここまで連続しては来ないけど。
「仕方ない、復旧まで待つか…」
私は携帯のライトで部屋を照らす。
雨雲が太陽の光を完全に遮っており、電気もつかないので部屋が薄暗い。本当に気が滅入る。この調子でエビルバクの討伐いけるのだろうかとも不安が残る。
わりとマジで…。この不運の連続がのちの幸運につながればいいんだけどな。
と思っていると携帯に通知が来る。
『停電なった!』
『発電所に雷が落ちたらしいな。復旧に一日かかるぞと父さんから聞いた』
うへぇ、マジでそんなにかかるのかよ…。
『わりとマジで今日は外に出ないほうがいいよ。雷凄いし』
『そうだな。とりあえず飛行船のってラピュタでも探しに行くか。たぶんあの雲の中にあるぞ』
『ないっての…』
『冗談はさておき今日はゲームできないな。携帯も充電できないし暇だ。今からアテナの家に向かう』
『ちょ、まじでいってんの!?』
『マジだ。ちなみに外に出てる』
『外出ないほうがいいっていったよね!? バカなの!?』
『三日月も来るだろう?』
『そりゃ…二人がいくなら…でもこの天気じゃ…』
三日月は悩んでいそうだ。そりゃそうだ。
『待っていろアテナ。防災グッズとか用意しておけよ』
というので私は携帯を放り出し一階に降りる。
防災グッズね…。すると。今度は地面が揺れた。
「地震かよ! どんだけ不幸降り注ぐんだよ!」
幸い短い揺れだしそんな強くなかったけど…。
地震雷火事親父というがそのうちの二つが一気に襲ってきたぞ…。どんな不幸だよ。
とんでもない不運ですね? これは何かの幸運の前触れ…?




