剛腕少女は土人形の夢を見る
翌日にもまた夢の世界を探索することとなった。
今度は二人も行くらしく、誰が眠るかを相談して決める。
「寝るやつは戦力的に十分なやつがいいな。夢を見てるやつがやられると起きちまう。その時に夢の中に入ってるやつは閉じ込められるんだよ。あたしがいちいち助けに行かないといけないからね」
「じゃあミーミルじゃない?」
「私自分が眠らないで入るのに憧れが…」
それに私は夢現のシュラフを使える。
一度死んでもいいという保証付きなのでそれを使っていきたいが…。確かにこの中で一番戦えるのは私だし夢を見るのは私が適任ということにはなるけど…。
仕方がないか…。
「わかったよ…」
「じゃあ、眠りな」
と、夢幻の波動を食らわせてくる。
睡魔が襲ってきて私は瞼を閉じ横になった。
気が付くとまた赤い空の下にいた。
瓦礫の上に私は座っており、ただただぼーっとしていた。二人は同じ場所に現れるわけじゃなく、遠くにはなれたみたいだった。
どうやら出現場所はランダムのようだ…。この私は。
「なんかちょっと半透明…。夢の姿だからか」
私が夢の姿というだけだ。
なるほど、これはちょっと夢現のシュラフに近い効果になるのか。生身の人がいるかいないかで見た目が変わるらしい。
一目で夢を見てる人が分かるようにって感じか。
その時だった。
どたどたどたと走ってくる何かの姿が見える。あれはミカボシたちではない。ものすごくデカい影だ。
そのデカい影は私の前に立つと拳を振り下ろしてくる。
「夢の魔物かよ!」
どうやら二人と合流できないまま戦闘開始のようです。
私は振り下ろした腕を登る。ゴーレムは振り払おうと腕をぶんぶん振り回し始めた。私は掴まりながらも前にゆっくりと進む。
以前戦った蜘蛛はド雑魚だったからこいつも弱い、はず!
ただ、ゴーレムとは戦ったことがないからどうやって倒すのかは私わからんぞ。こんなデカいゴーレム、殴って倒せるとは思わないしな…。
ここで私が死んだら二人に死んだと思われないし閉じ込めるんだろう?
迂闊に死ねないから慎重に行くしかないな。本来は戦わずに逃げるという選択肢もなくはないが…。
「細かい事かんがえるのめんどくせえな…。しゃあない、戦うか」
私は腕をよじ登る。
肩のところまでいくと首の付け根あたりを確認してみる。
すると、なにやら光ってる結晶のようなものがあり、そのクリスタルでゴーレムは動いてるものだと直感で感じ取った。
私はすぐさまその結晶を殴って壊すと、ゴーレムは動かなくなり、そのまま瓦解して崩れる。
私はゴーレムの瓦礫と一緒に落ちていった。
「…ぶねぇ! これ倒しても瓦礫に押しつぶされることがあるな!」
瓦礫の下になったが、運良く瓦礫が壁を作って押しつぶされるのを回避した。
「とりあえずまずは二人と合流するのが先か…」
つってもこの広い崩壊した始まりの街。
探すのにも逆に苦労しそうだ。下手に動き回るよりここらへんでじっとしてるほうが合流はしやすいか…。
私はとりあえず瓦礫の上に座る。
二人と合流するにたいして決めなければいけないのが、かっこいい登場の仕方だ。
なんかここに一人でぽつんといるとかっこいいのと不気味さがあるよね。座って空を見上げてるとかそういうポーズがかっこいい。
「い、いた!」
と、声がした方向を見ると、二人とソムニが立っていたのだった。
かっこいい登場の仕方ができなかった!




