悪夢を探ろう
冒険者ギルドにやってきた。
始まりの街の中央のところに位置する冒険者ギルド…。NPCが作ったチームらしいがこの国で一番のデカさを誇り、それぞれの街に支部ができているということだ。
私はとりあえず中に入っていく。
中はどんよりしていた。
「あら、なんかすごい暗い…」
「ああ…。みんなこのところ悪夢の連続でな。眠っても眠れてないって言う状況が多いんだ」
「ここにも弊害が…」
噂話が集まりそうな冒険者ギルドに来たはいいけど話を聞ける状態じゃないなこれは。
「ちなみにどんな悪夢を見たんですか?」
私は近くでどんよりしてる人に尋ねる。
「なんか…でかい魔物が襲ってきて…」
「どんな魔物ですか?」
「ゴーレムに近い感じだったな…。俺は剣で必死に対抗してたけど殺されて目が覚めてさ…。それを何日も見るの。精神がおかしくなりそうだ…」
「俺も殺される夢だよ…。俺は蜘蛛だったけどな」
「俺スライム」
「私は吸血コウモリにたかられて殺されたわ…」
と、それぞれが口に出す。
ふむ、全員魔物に殺されてる夢…? 一人だけならともかく、全員が魔物は違うとはいえ共通点が多い夢を見るのは明らかにおかしい気がするな。
悪夢障害…って言う可能性はないな。となると人為的か…。でも、エーデルさんはそんな気配はないといっていた。
「人ではないのかもしれないな。となると魔物が原因か…」
私は今度は図書館に移動した。
始まりの街には王国には及ばないがでかい図書館がある。
利用はしてなかったが、今日初めて利用することにした。大体の初心者プレイヤーとかはここで魔物の知識をつけるらしい。魔物はどの属性に弱いのかとか。私は利用したことないけど。
そもそも図書館を利用したことがほとんどない。
「この静けさが嫌なんだよな…。あと活字ばかりで頭痛くなりそうだしなー。早いとこ調べてとっとと帰ろ」
私自身図書館というのがそんな好きじゃない。
本を読むのがまず好きじゃない。漫画はたまに読むが漫画ぐらいだ読むのは。基本的に運動したい人間なので大体外かゲームしてるかの二択だな最近は。
「魔物図鑑魔物図鑑ーっと」
魔物図鑑コーナーというのがあり、そこに入る。
夢を見させる魔物…。アンデッド系は違うとして…。現実で有名なのはバクだな。となると幻獣系になるのか?
種族ごとに分かれてるらしく、私はとりあえずめぼしい獣系、幻獣系、悪魔系の図巻を読むことにした。
まずは悪魔系。
「トランスデビル載ってるじゃん。あいつらこんな強いんだなー」
と、笑いながら読み…。
「っと、本来の目的忘れてた!」
夢を見させる魔物…。
悪夢を見せる魔物…。ユメ、か。夢魔…。サキュバスとインキュバス? それならどちらかというと淫夢を見せて精気を吸い取るとかそんな感じだしな。
「ソムニウムディアボルス…。夢の世界に連れていく悪魔族の魔物…。こいつちょっと気になるな」
よし、捕らえよう。
生息地は…。この大陸で言うと王都を少し越えた先にある大峡谷、ママーラ大峡谷か。いける範囲だな…。と、その前に。
あのトランスデビルも連れていこう。悪魔族が一緒だと話が通じそうだしな。じゃ、まず山登りか。




