文化祭前 ③
助けてください。
目の前のアイドルの女の子が頬を赤くして付き合ってくださいって…。私にそんな趣味はないです。いや、同性愛の理解はある方だと思ってるけど…。
ロンドンにはゲイバーとかあるぐらいだからね…。
「そ、その…私はノーマルだから…」
「…あ、諦めませんよ! とりあえず連絡先だけでもいいので!」
「ま、まあ連絡先なら…」
私は携帯を取り出し、ちっちちゃんの連絡先が携帯に入る。
「改めまして! 私は二年の夢咲 千絵です!」
「…あ、先輩だったんですね」
「一年生なの?」
「ま、まあはい…」
すると、夢咲さんはにまぁと笑う。
「こんな可愛らしい後輩ができて私は最高だァ! よろしくねー!」
「よ、よろしくお願いします」
「ため口でいいよぉー! アテナちゃん!」
と、抱きついてくる。
ゆ、夢咲先輩意外とあるんですね。顔が埋まりますよ。や、柔らかい。
「ちっちちゃーん。マネージャーって言う人が…」
「…えー。いきたくなーい」
「マネージャーさんならいかなくちゃいけないのでは…」
「いってくる! ありがとね!」
と、しゅばっと走って向かっていった。
げ、元気だなぁと思いつつ、私は舞台袖から出ると客がすでにはけており、三日月と灘ぐらいしか残っていなかった。
私は二人のところに向かう。
「どうだった? 生アイドル」
「ん、告白された」
「え?」
「やはりな。噂で女の子が好きと言われていたがマジだったか」
と、SNSを見せてくる。検索欄にちっちちゃんとうたれており、候補に「ちっちちゃん レズ」と書かれたものがあった。
そしてそれを開くと掲示板のツイートとかがあり、ちっちちゃんレズ説とか書かれていた。マジなんですか…。
「で、ちっちちゃん、アンクロしてるらしいぞ。それらしき人を見たという噂もある」
「そうなの? 一応興味ないとはいえ追ってるけど…」
「興味ないとかはっきり言うね…」
「芸能人は好きだけど好きなのは俳優とか女優でアイドルは専門外なんだよね…。好きなドラマに出演するならまぁ、好きになるかもしれないけど…」
「でもアイドル最近ドラマとかも出てるでしょ?」
「そういうアイドルを売る戦略は嫌いなの」
ま、だろうな。
俳優目当てで見るわけでもないからな。好きな俳優が出てても脚本がよくないとこいつ見るのやめるからな…。
「アイドル使ってるからって演技力と脚本がよくないとつまらないんだよ…。演技力がよくて脚本がいいのが一番いいの」
「そういうものか?」
「灘だって好きなアニメで矛盾だらけだったり声優さんが棒読みだったらどう思う?」
「うっ、それは嫌だな…」
灘が微妙な顔をする。
「アテナは…」
「そもそもあまりテレビを見ないな」
「そういうヤツだもんね…」
でもたしかに棒読みとかだったら嫌だろうしな。なんとなくは理解した。
「ま、前夜祭もそろそろ終わるだろうしな。帰ろうぜ」
「そうだね…。ところで灘さん」
「なんだ?」
「そのまま向かっていいのかい? 君の家に」
「おう。いいぞ」
この後、灘の家にお泊りです。




