合流、下山
レシピをもらい、私はトランスデビルに聞いてみる。
「そういや私の仲間に変身してたけどさ、私の仲間どこにいるかわかる?」
「いや、わかんねっす。探してみるっすか?」
「そうだね。お願い…っていうか知らないでよく変身できたね」
「俺らは人の心を読み取って大事な人に変身すんだよ。知らなくてもその人が変身してる人の性格がわかってりゃ演じれるしどう思ってるかもわかる」
なるほど。
人の心を読み取るとはなんとも言えない気持ちになるな。私が大事に思っているからこそ二人に変身したというわけか…。
厄介な相手だよ。これ下手すると仲を引き裂くことになるんじゃないの?
「じゃ、探してみるっすー。ほら、いくっすよ」
「ああ」
そういって二人は羽根を広げる。
私も実は飛べるが、私の場合加速していくから速くなったらそれこそ見つけにくい。ゆっくり飛ぶあいつらのほうが探しやすいだろう。
…まさかあいつら私に変身して襲ったりとかしないだろうな。とかそういう不安はあるが…。ま、なるようになるだろう。
数十分後、見つけたっすという声とともに二人がデビルに抱えられてきていた。
「重い、重いっす!」
「ちょ、女の子に向かってそれは…」
「鎧とかあるからだろう」
と、二人が何の抵抗もなく連れてこられていた。
なんつーか、首根っこ掴まれて力抜けてる猫みたいな感じで…。二人は地面に着地すると、私のほうに近づいてきた。
「ミーミル! 大丈夫!?」
「大丈夫だったか?」
「なあ、デビルよ。変身したお前らの仲間じゃないよな?」
「大丈夫だ。お前のスキルも発動してないだろう」
ま、なんとなく聞いてみただけだけど。
「だいじょぶだいじょぶ。っていうか、よくあのデビルたち信用したよね?」
「ミーミル探してるときにミーミルのところに連れていってやろうと思ってさ。その時はうんっていったけど連れてこられてる最中に騙されたならどうしようとか不安はあったよ」
「ま、出会えたから結果オーライだがな」
そうだね。合流出来たからよかった。
「それじゃ、すんませんした。俺らもう戻りますんで」
「ああ、困ったら私を頼れよ」
「そうさせてもらう」
と、デビルたちは霧の中に戻っていった。
「さてと、合流できたことだしレシピ探しを…」
「あー、それなんだけど、これ」
私はレシピを差し出す。
「あのデビルたちが見つけてさ、もらったんだよね」
「もう仕事終わったよ…。じゃ、あとは下山だけか…」
「そうなるね。ま、ゆっくり下山しようか」
私たちはそう話し、下へ向かって降りていくのだった。
私一人なら飛べる分早く降りることはできるが二人がいるからな。さすがに一人で駆け抜けるというのはできないや。
「こりゃ明日までかかるな…どこかでログアウトできる場所を見つけなくちゃね」
「テント張ればいいんじゃない?」
「そうなんだけどこんな道のど真ん中じゃなんか寝心地悪そうっていうかねー」
「道も何もないがな」
いや、舗道されてないからそうなんだけど。
「ま、今日はいけるとこまでいこっか」
そういい、私たちは下山していく。




