メルメル山の登山
目の前に聳え立つ雲を突き抜けるほど高い山。
メルメル山のふもと。薄暗く雲のせいで太陽光が降り注ぐことはないところにいた。
「登山か…。中学生の遠足を思い出すな」
「あれはもう嫌だったね…」
と、二人が懐かしそうに語る。
中学の時の遠足も登山だったのだ。山に登るってなっていったらあいにくの曇りで登ったんだけど、二人が足を踏み外してちょっとした崖から落ちたのだ。つっても1mあるかないかの高さのところなんだけど。でもそこに茂みがあって誰も落ちたことに気づかなかった。
私も最初は気づかなかったが二人がいないということに気づいて探したら足をねんざして落ちてるんだもんな。びっくりした。
「あの時ミーミルが見つけてくれなかったらって思うと怖かったよ」
「ミーミルはいつも私たちを助けてくれるな」
「いや、むしろ助けが必要な場面を作りすぎなんだよお前ら…」
あんたらが何もなかったら私だって助けることはないのだ。
「さて、ま、今回の登山は崖から落ちるなよ?」
「落ちても死ぬだけで捻挫とかはしないから大丈夫でしょ」
「ま、ゲームだからな」
私たちはそう言って山に上り始める。
ものすごく緩やかな山だった。そうなると頂上までは結構かかるだろう。一日じゃ到底昇り切れないだろうしな。
しばらく歩いただろうか。
私たちは歩いていると山羊の魔物に出会う。山羊はちょっとだけ生えている雑草をむしゃむしゃと食べていた。
こちらに気づいたようだが襲い掛かってくる雰囲気はない。
「あれAランクの魔物だぞ…。ゴッドゴート…。直訳は神の山羊」
「図鑑にも載ってたわね。気性は激しくないようだし攻撃しなければ攻撃してこないといってるぐらいだから素通りでも問題なさそうだけど…」
「経験値がな」
問題はそこじゃない。
ここでAランクの魔物を見るということは頂上には…。頂上付近にはもうSランクの魔物がずらっといるんじゃないだろうかという懸念がある。
まだまだ下のほうでAランクを見たのだ。そういう可能性を考えてもいいが…。
「山羊って乳出すよな。美味いのか?」
「さぁ…。山羊のミルクは飲んだことないし…」
呑気な奴ら…。
でも山羊のミルクか。あれは私好きじゃないな。山羊臭いんだよ思ったより。牛乳飲んでいたほうがまだいい。
ただ匂い抜きで考えてみると牛乳より濃厚だったとは思う。飲みたいとはもう思わないが。
「ん、群れがこっち向かってくるけど」
と、ゴッドゴートがこちらに突進してくる。
私たちは武器を構えると、ゴッドゴートたちは私だけに突進してきて顔をスリスリしてきた。メェーと鳴きつつ嬉しそうに舐めてきたりスリスリ。体力は減ってない。
「あら、山羊に囲まれた」
「好かれてるな」
「メェー!」
「ちょ、助け…」
山羊の群れは私を背中に乗せる。
そして、群れは山を登っていった。私は乗せられたまま二人と離れてしまう。ちょ、どこにつれていくんすか!?
ゴッドゴートはメェーと鳴きながら頂上に向けてすごいスピードを出して向かっていく。速い、けど二人置いてきぼり!
ちょ、助けてくれ!




