ランクを上げようか?
私は家に帰りログインした。
先に二人はログインしていたようで、二人で座って何か話していた。
「よーっす。さっきぶり」
「やっとログインしたか」
「遅いよー」
「しょうがないだろー。ショッピングモールとは逆方向に家があるんだから…」
二人は比較的近い位置にあるが、私は真反対のほうにあるので自転車じゃないと結構きつい距離だ。ママチャリでやっとこささっき帰ってきてログインした。
「それで今日は何するの?」
「そうだな。チームのランクを上げようと思う」
「チームのランク?」
「えーっと、チームにはランクがあって、どれだけボス級モンスターを倒したか、どれだけ依頼をこなしたか、チームのメンバーのレベル平均とかでランクが決まるんだよね」
ふーん。
ランクを上げるということは必須なのだろうか。無駄な行為はあまりしたくはないが…。
「ランクを上げるとチームに結構割のいい依頼とかが来やすくなるんだよね。あと、ランキングに乗ると話題になって宣伝したいものとかあれば宣伝できるっていうこともあるし」
「へー」
「興味なさげだな」
「ランク上げとかそういうの面倒だし…」
ちまちました作業はそんなに好きじゃない。
「まあまあそういわずに! 私たちはランキングに乗ってみたい!」
と、自分の欲望をさらけ出していた。
向上心があるのはいいことだと思うけど…。
「二人も一緒にやろうよ!」
「私は構わん! 私の名を全世界に知らしめるのだ! ふははははは!」
「ま、二人がやるなら手伝うよ…」
というので、ランク上げもやることになりました。
つっても、ボス級モンスターと依頼の達成だろ? 昨日一つはこなしたが…。さすがに一つだけっていうのは足りないし今どのくらいにいるんだろうか。
「今のランクは?」
「Fランクで順位は78912位かな」
「ひっくぅ…」
どんだけやってねえんだよと。
「これだけ順位が低いなら目指すはジキルタイガーの討伐!」
…え?
「あの虎? 私昨日出会ったよ」
「…マジで?」
「あれ見つけられたらすぐ喧嘩売ってくるわ、物理威力が高すぎてめっちゃ防御高くてもよくて2パンでやられるやつだ。生き延びれたのか?」
「なんとか。あとスキルもらったし好感度高めればテイムできるって…」
「「うそっ!?」」
そんなに意外なの?
それにしてもあの虎すごい強いんだな。たしかにほとんど一瞬の攻撃だったしあれ躱せたのは奇跡みたいなものでカウンター食らわせてやったんだけど。
でも、あれテイムできるならしたほうがいいかもしれないな。
「神獣ってテイムできるんだ…」
「神獣?」
「神の獣っていうようにこのゲームに七体存在するらしいんだ。神獣はものすごく強くて今のプレイヤーが勝利した報告は未だになし」
「へぇ…」
「すごい大発見だ。でもテイムできるって…」
たしかカウンター食らわせたら認められたって言っていたな。
「もしかすると神獣ってやつに認められたからかな」
「認められた?」
「攻撃を何とか躱してカウンター食らわせたら認められたって言われたんだよ。たぶん認められる条件があってそれを達成してやっとテイムできるようになるのかも…」
ジキルタイガーの条件は攻撃をノーダメージで受けて攻撃する…とかそんな類かもしれないな。
「なるほど…。じゃあ、ジキルタイガーはテイム…してみる?」
「好感度を高めなくちゃならないし私は毎日通うことになるかもなぁ」
「それもやむなし! 神獣を初テイムするのは私たちだよ! ほんとミーミルは昔から運がいいよね!」
「幸運の女神様だな」
「そんな女神だなんて…たしかに女神みたいに可愛いけどぉ」
「そこは認めるんだね…」
日本人にとってはものすごく受けがいい顔だからねー。




