私たちの昔の事 ②
三人でよく遊ぶようになって数か月がたった。
数か月がたったある日の事、私も日本語に慣れてきたとき。灘が呼び出しを受けていた。それはサッカークラブに所属しているかっこいいイケメン男子で、女子生徒から人気が高いと言われている高井君という子。
私たちは陰でこっそりのぞいていると、灘がなんと告白をされたのだった。
「好きです。串野さん」
「えっ…あっ…」
と、告白を受けた灘はなんていうか、微妙な顔をしていた。
「…その、私は付き合うっていうか、好きって言う感情があまりなくて…。その、トモダチから始めませんか」
と、やんわり断っていた。
高井くんはしょうがないかといって、にっこり微笑んだ。
「灘! なんで断るの!? みんなのあこがれの人だよ!?」
「うーん。今は恋とかそんなのする気分じゃないし…。それに、三日月たちと遊んでいるほうが楽しい」
とあどけなく笑う。
振ったことに後悔はしていなさそうだ。
「さ、教室戻ろっか」
そういって私たちの手を取った。
そして、その翌日。
私は意気揚々と学校に登校してくると。なんていうか、教室が騒がしかった。私は中を覗くと、灘の席に落書きがされており、灘がびしょ濡れのまま立っていた。
「どう…して…」
「あんたごときが高井の告白を振るなんて思い上がりがはなはだしいのよ」
と、クラスの女王格である花井さん、そして、染岡くんが灘を囲っていた。
染岡くんの手にはバケツが握られており、それで水をかけたものだと思われる。私は何も気にしてないようにして中に入っていく。
「灘、大丈夫?」
「…ダイジョブじゃない」
と、灘は教室から出ていってしまった。
泣きながら出ていく灘。それを引き留めようとしないクラスメイトたち。嘲笑う二人。私は二人にたいして憎悪が少し湧いてきたのを感じた。
私の失敗は、この時に二人を何とかしないことにあったのだと思う。この時、私が何とかしていればあんなことにはならなかったのだ。
私は、椅子に座る。そして、何も気づいてない先生が授業を進めたのだった。
灘がいないまま授業は進み、放課後になった。
放課後、私は一度家に帰ったが、教室に忘れ物をしてとりに向かう。私は教室に到着すると、なにやら灘の机にいたずらをしている人が見えた。
それは、私にとっても意外だった。
「あれは三日月…?」
三日月が、暗い表情のまま、灘の机にカッターで傷をいれていた。
なにをしてるんだろう? なんで、カッターで傷を…? 私は仲良かったはずの三日月のその行為に疑問を覚えていた。
すると、三日月はこちらに来る。私は思わず物陰に隠れた。
私がいることに気づかないで通り過ぎる三日月。通り過ぎるときに「ごめん…」と、誰にたいして謝っているのかわからないつぶやきが聞こえてきた。
三日月も灘をいじめている…。その事実は信じがたい。三日月は少々気が強いところもあったが、こんなことをする人ではなかった。
でも、現場を見てしまったからには…。
私は、一気に不信感が沸き上がったのだった。




