お腹が空いて力が出ない…
レストランで食事をとり終わると、それぞれが用事があるということでログアウトしていった。
私もログアウトし、時計を見ると午後の4時だった。昼めしは食べてないな…。ゴールすることに精一杯だったし。
ここシルバーウィークの期間、ろくに飯食ってないかもしれん。
「栄養失調で倒れるんじゃないかこれ…」
頭が若干ふらつく。
現実でもご飯を食べなくては。私の食生活は不規則すぎる。ゲームに熱中しすぎてしまったかもしれないな。
あっ、やばい。
「ただまー! アテナちゃーん! 珍しくお母さんが早く…アテナー!?」
気が付くと病院だった。
私の手には点滴がつけられており、隣には母さんと父さんがいた。
「栄養失調だ。最近飯食べてたか?」
「うーん、ここしばらくまともなのはとってないかな?」
「馬鹿ー! 母さんすごく心配したんだから!」
どうやら倒れていたらしい。
くっ、人は何日もまともな食事をとってないと死ぬわ。反省しよ。ゲームが悪い。熱中させすぎるんだよゲームは。
「あなた、アテナには何の病気もないのよね!?」
「レントゲンとか一応とってみたが特に問題はない。本当に栄養失調だけだ。ったく、きちんと食事くらいは食べなさい…。私が食べさせてないみたいに見えるから…」
「あはは。ごめんなさーい」
「ったく。ま、今夜一晩は入院すること」
「はぁーい」
夜の病院って結構興奮するよね。
そう思っていると、お腹がぐぅーと鳴り響く。点滴で栄養補給してるとはいえ胃の中は空っぽだもんな…。
お腹、空いた。
「それにしても母さんの慌てぶりはすごかったな。どこの誰がやったとか」
「お、襲われたんだと思ったんだもん! こんな可愛いから…」
「こんな可愛い娘を一人にしてる時点で襲ってくださいと言わんばかりだろうけどな…」
「うぐぅ。でもそれはあなたもよねえ!」
「うぐっ」
なんで父さんブーメラン投げて自分も傷つけるんだよ。
それに、口げんかなら弁護士である母さんの方が強いに決まってんだろ。いつも法廷で口げんかみたいなことしてんだぞ。
それにしても…人間は六日で限界か。ふむ、限界を突き詰めてみたくなったってこともないがいいことがわかった。五日くらいは私は食べなくても平気!
だがしかし、人間は三週間くらいは飲まず食わずでも大丈夫と聞いたことがある。そう考えると案外脆いな私って。
「と、ともかく。これから毎日食事だけはしっかりとることだ。食事は生物にとって大事な要素。食べないと死ぬぞ」
「アテナに先死んでほしくないからね! ちゃんととりなさいよ!」
「へーい。つっても、料理出来ねーからどうせコンビニだろうけど」
「「コンビニはダメ!!」」
と、二人から怒鳴られた。
その瞬間、部屋に来た看護師が父さんを睨みつけている。
「すいません、騒がしいです」
「あ、すまない…。コンビニはダメだ。添加物とかいろいろあってな…。毎日は」
「じゃあ食いに行けって? それだと毎日金がなくなってく一方だけど」
「しょうがないわねえ。何万くらいで足りるかしら」
「出す気満々なんかよ…」
いや、帰って手料理作ってくれた方が安上がりそうなんだけどな…。
「しょうがない。俺が帰って…といいたいが俺は料理できないからな…。母さん、できるか?」
「もうアテナのためなら頑張っちゃう! 定時で帰るようにするわ!」
というので、まあ、食生活は一安心?




