ゴール地点の観光
街中は戦争をしているとは思えないほどのどかだった。
私たちは街の中を歩く。一着が私で、二着がパンドラさん、三着がワグマさんという風になり、私たちは街の中を歩く。
「私たち、道中の街を潰してきたよね。本当に戦争なんて起きてるのかな」
「そうね…。戦乱となったらもうすこし閑散としていそうなものよね…。この賑やかさは逆に不気味だわ…」
戦争をしていない?
いや、仕掛ける前なのだろうか。私は道行く人を食い止める。
「すいませーん。ちょっと情勢の調査をしてるんですけど、隣の国との仲はどうなんですか?」
「あー、隣の国? 仲は今の王になってから険悪になったって聞いてるな。近々戦争が起きるんじゃないかって言う話もあるぐらいだしな」
「…戦争が起きる?」
「どうもあっちもあっちで血の気が多いみたいでよ。どっかの街でいざこざが起きてんだ。お互い街がつぶされている。軍もあちらに進軍しているし、あっちもこっちに進軍してるっつー噂だぜ」
やはり噂はあるのか。
となると、あの街を落としたのは戦争なんかじゃなくて単なるいざこざであった可能性もあるな。まあ、ゴールした私たちには関係ないだろうが…。
「隣の国がレースを開いているって言う話は聞きました?」
「レース? ああ、聞いてるぜ。大陸横断とかいっていたな。この街が大陸の丁度端っこだけどここには来ねえんじゃねえかな。いくらなんでも遠すぎるしな」
ほえー。
まあ、海に面した街だしどちらかといえば欲しがりそうなもんだが。
「ありがとうございました! では!」
私は元気よく立ち去った。
ま、先の心配をしても仕方がないということで、私は観光することにした。
海近くの街というだけあり、魚介類が多い。
「刺身って美味しいですよねー! イギリスじゃ魚は揚げたりとか焼いたりが基本で生で食べたことはなかったんですよー」
「イギリスじゃ刺身とかはないのか?」
「んー、あるにはあるんですけどそもそもスーパーに魚のコーナーがないっていうのがほとんどですかね?」
日本食はゲテモノに見えるものも多いけど食べてみると美味いのだ。納豆も中三くらいで克服したしな。
「ふむ、やはり外国と日本は違うんだな」
「外国の文化とかはやはり現地に住んでた人に聞くのがいいわね。参考になるわ」
「ほかにイギリスじゃ食べないものとかあるのか?」
「ありますよ。メジャーなとこで言うと生卵とか?」
「えっ、卵かけごはんとか旨いのに食べないのか?」
「食べませんねー。生卵を食べると病気になるとか言われてますし。私も日本に来て初めて卵かけごはん食べましたよ」
初めて食べるときは結構躊躇したね。
生卵は危険と爺ちゃんも言ってたからびくびくして食ってた。今じゃ結構食べるけど…。あれだけはどうも怖かったね。
「魚料理食べていきましょうよー! なんかお刺身食べたくなってきました」
「そうね。満腹度もそんなにないし腹ごしらえしましょう」
「久しぶりのまともな飯だな」
私たちは海鮮レストランに入る。
私は生魚を食べたい。手に入るだろうか?




